H30年度 税制改正意見書 神奈川サークル

神奈川サークルでは、平成30年度の税制改正に関する意見書を既に29年4月の時点である程度作っている。

神奈川県の税理士サークルが、自由に議論(?)した平成30年の税制に関する意見というだけなので、改正ではないよ。単なる話し合いの議事録の途中経過みたいなもの。

これが、なかなか面白い。読んでみよう!

1、はじめに

所得税の累進性は低下し、消費税に依存しちゃって「所得再分配機能」が機能しなくなってきちゃってケシカラン。持たざる者はチャンス自体ないといった社会になってしまって平等じゃなくなっちゃう。応能負担原則に従った公平な課税を!

とのことです。そうなんかね?

2、所得税

・人的控除がお金持ち優遇なのはおかしい

うん、私もそう思う。所得控除は税額控除にすべきだと思う。それか、住民税で精算するのはどうだろう。(しつこい)

・年末調整不要論

給与所得者の納税意識を奪うし、プライバシー保護の観点から問題あるし、年末調整事務負担を事業主に強いるのは可哀想だから年末調整はだんだん無くしていこう。

とのこと。

いや、私はそう思わない。年末調整はあった方がいい!年末調整は給与所得者の任意だから、納税意識を奪うということはないよ。プライバシー保護をいうなら、住民税の特別徴収制度について言及しないのは何故よ。年末調整事務負担は、事業主が可哀想だから、罰金や期限などもうちょっと柔軟にした方がいいよね。

3、法人税

・役員給与

定期同額給与はおかしい。過大給与や実体のない役員への給与を経費否認するのは分かるけど、会社内部で決めた意思表示である役員給与を、税金のルールでごちゃごちゃ言われるのはおかしい!

とのこと。ほんとだよね。

・留保金課税の拡大(新設)

公益法人等についても留保金課税的な考え方を導入し、例えば介護職員への給与増額に繋げていったらいい。収益事業を行わない公益法人等は法人税の納税義務がないので、内部留保を有している法人も結構ある。課税の公平性の観点からも、公益法人等への留保金課税を検討したらどうだろう。

とのこと。素晴らしい!知らなかったよ。

ところで、留保金課税の制度趣旨について、神奈川サークルの意見書にも簡単に書いてある。復習しておこう。

営利法人に適用のある留保金課税の趣旨は、本来配当や給与で株主や従業員に還元する部分を法人内部にプールし、税率差を用いて課税を免れている部分に対して課税を行うものである

資本金が1億円超の法人が留保金課税の対象となりえるから、ある程度大きい会社って感じだよね。私は勉強はしたけど、実務では関与ない。

オーナー株主が死んだら、内部留保パンパンの株式には相続税が課税されるんだけど、税金対策で評価額を下げたり、納税猶予も出来てしまうので、配当・給与課税したいんだね。留保金課税を考えた人はすごいな~と思ってしまう。

公益法人等は相続税対策に使われているみたいで、だからこそ、こういう意見が出るんだね。そろそろ相続税の方で大きな改正でぶった切られるだろうね。

4、消費税

消費税の複数税率・インボイス制度に反対。税の逆進性(金持ち優遇)、事務負担、公平性に欠いている、線引きが曖昧、などの理由から反対。

とのこと。

5、相続税

・遺産取得課税方式

相続税の課税方式を今の法定相続分課税方式から、遺産取得課税方式に変えたらどうだろう?遺産取得課税方式にしても、課題は山積みだけど、「家」「家族」に対する国民意識が薄くなった現代に見合うように取得者の担税力に応じた課税の実現を図るべきだ!

とのこと。おもしろい。相続税は変な税金だよ。小規模宅地等の特例で各自の税金がおかしいことになってたり、相続時精算課税の適用の有無や他の相続人などによって税額が変わったりするからね。意味不明だよね。

・非上場株式の納税猶予

非株の納税猶予の上限を撤廃してすべてを納税猶予できるようにしたらいい。優良非上場会社であればあるほど、株式の評価額が高くなるけど売れない。現行の2/3だと税負担が重いから、100%納税猶予できるようにしたらいい。

とのこと。そうだね。納税猶予制度は、段階的にもっと使い勝手がよくなっていくんじゃないかな、と思うね。また、非上場株式は税金対策も出来てしまうので、公平性を考えるとなかなか難しい。

6、国税徴収法

ちょっと分からないので飛ばします~

7、地方税

・償却資産税を廃止

事業所得との二重課税だし、課税の根拠がなく市町村の裁量に課税が委ねられているし、実態把握が十分ではないから公平性に欠ける、という理由から償却資産税は廃止すべき。

とのこと。素晴らしい!これは勉強になったね。なんとなく、土地や建物、車には税金がかかるから、備品の固定資産税みたいなもん、と思っていた。ただ、「実態把握が十分ではないから」というのは、ちょっと違うと思うんだよ。確かに公平性に欠けるなぁ~と思う。でもズルできちゃうから廃止、という考えはナシでしょう。購入時に消費税と一緒に償却資産税を課すのはどうだろう。家電リサイクル券みたいさ。

ところで、二重課税という言葉が分からなくなってしまった。例えば、備品購入時に消費税と一緒に償却資産税を徴収していいの?二重課税なの?償却資産税は事業所得との二重課税なの?

購入時に消費税、所有中は償却資産税、償却資産を使って売却して儲けを出したら所得税or法人税、所有する個人が死んだら相続税の課税だよね。

謎が謎を読んで、迷子になってしまった。二重課税とは何か?宿題だね。

なんで、固定資産税ってかかるの?

財産を持っている人から税金徴収しましょうってことみたい。うーん。何でもありだね。

・事業所税

分かりませ~んので省略

・地方税の納税手段

地方自治体によって、地方税の納税方法の便利さ格差が広がっている。だから、ペイジーをどの市町村でも使えるようにしたらどうだろう?推進コストはユニバーサルコスト(国負担という意味?)にしてもらいたい。ダイレクト納付の地方税バージョンも導入を。

とのこと。知らなかった。小規模自治体への配慮や全国規模でビジネスをする事業者の納税コストを考えているところが、素晴らしい。地方税ダイレクト納付っていいね。

「小規模自治体にとって滞納率の増加の遠因になる」ということも考えているところが都市と地方が混在している神奈川県らしさといえるんじゃない。

8、最後に政治家の話

今回の意見書と全然関係ないんだけど、神奈川県の議会の新聞を偶然見た(生ごみの水切り用に使おうとしていて・・・)。

神奈川県議会で、ある政治家が、

「地方税の滞納者に対しての督促状の封筒に、生活困窮の場合の相談窓口のお知らせを載せよう。滞納は無言のヘルプかもしれないじゃない?どうでしょうか?」

と質問し、県知事が「そうしようそうしよう」と答えていた。

偶然だろうけど、同じ時期に、神奈川の税理士・政治家が納税状況からその人の状況を汲もうとしていることを、発見できたことがうれしい。

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。