報酬の源泉徴収制度はいらない

29.9.20 税金の徴収を事業主に押し付ける、ありがたい制度である源泉徴収について考えよう。報酬の源泉徴収は廃止とすべきよ。

会社や個人事業主は、源泉徴収義務があるよ。

今月、私はカメラマンに報酬を支払うので、源泉徴収しようと思います。あー面倒。

・源泉徴収 各種取り揃え。

一般的には、給与、賞与。たまに配当金や退職金も。非居住者の源泉徴収もある。非居住者は難しいからまた今度。

他にも、報酬の源泉徴収がある。税理士や弁護士、司法書士社労士などの士業(なぜか行政書士は不要)や、デザイナーやカメラマンへの源泉徴収も義務よ。めんどくさーい!

・報酬の源泉 国税庁HP

そういえば、今回依頼したカメラマン(個人事業主)への源泉て必要なのかな?

何でも知っている国税庁HPに聞いてみよう。スタイリストやヘアメイクの方への支払いは、源泉いるの?→ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/05/08.htm

スタイリスト料又はヘアメイク料については、源泉徴収を要しません。

なるほど。そうなんだ。職業イロイロ、源泉徴収イロイロ。

ただし、スタイリスト料又はヘアメイク料相当額を写真の報酬に含めて、カメラマンに支払う場合には源泉徴収を要することとなります。

カメラマンは源泉有りね。メイクしてもらってついでに写真撮ってもらったら源泉有り、と。メモメモ。

なお、映画、演劇その他芸能又はテレビジョン放送に係る美粧の報酬として、スタイリスト料又はヘアメイク料を支払う場合には源泉徴収を要することとなります。

・・・ちょっと!さっきはスタイリストやヘアメイクは源泉要らないと言ったじゃないか!調子に乗りすぎ!

で、カメラマンの源泉は??

・で、カメラマンの源泉は?

結論から言うと、「カメラマンの報酬は源泉しておいたら?内容によるけど。」

所得税法施行令320条を目をしぱしぱさせながら読むと、「印刷物に載せるなら源泉して」って読める。

じゃぁ、今回の私みたいに、WEBに載せるためのカメラマンの報酬は源泉いらないよね。

と、いいつつ、この写真を名刺や印刷物に載せる可能性もゼロではないよね。

もしかしたらオファーが来てこの写真が載ったページが出版されベストセラーになって大金持ちになるかもしれない!さよなら、低所得者の私。

その時、「えっWEBだけと思ってたから源泉してない・・・。」とか思いたくない(払えばいいだけだけど)から源泉徴収しておくわ!

別に、私のキャッシュアウトは同じ金額なんだし。支払先が変わるだけ。

・報酬の源泉徴収の不備

報酬の源泉は、このように整備されていない部分も多いの。

多分、昔は士業などの専門家が「センセイ様」だったし、デザイナーなども少なかったんじゃない。申告納税制度も確立してなくて、とりっぱぐれがない源泉徴収制度をエイヤで報酬も増やしたんだろうか?(と、勝手な想像)

報酬の源泉徴収の場合、「これは源泉徴収すべきかどうか」を判断するのが、支払者側であり、ペナルティを課されるのも支払者側。だから、請求書には源泉徴収額が記載されていなくても源泉徴収しなくてはならないの

人によっては、「振込額が足りません!」と言う方もいて、「源泉徴収の分、減らしてる」と言っても分かってもらえないケースもあり涙。

・案外、税理士が反対する

報酬の源泉徴収を廃止、とかいうと、「エー、確定申告で還付だから助かるのに」とかいう税理士がいる!源泉徴収って前取りなので全然お得ではないのだけど、お財布からお金が出ないまま課税関係が終了するのってありがたいよね。

源泉徴収の話に戻そう。

逆に、税理士の中には、税理士法人にして事業主の源泉徴収負担を減らすって考えの人もいるよね。色々あるのね。

税理士法人って、節税目的に使われているばっかりかと思ったけど、「自分が死んでも法人が残るし源泉徴収不要だからクライアントが安心できる」という意見もあり。なるほど~。でも節税目的にもなっている。(しつこい)

・報酬の源泉徴収を廃止とすべき

1、税収の平準化は消費税でやれば?

源泉徴収される場合は、個人事業主だよね。だったら、記帳が義務よ。だから、源泉徴収をせずとも、自分で税金計算をして納税すべき人たちなの。源泉しないととりっぱぐれる、という発想は昔の話で、今は資料せんなどで所得捕捉できるし、大丈夫よ。

2、源泉が面倒だから個人とは契約しないとか

事業主によっては、「個人事業主は源泉徴収や支払調書などの事務負担が大きいから、法人としか契約しない」という方針もある。

源泉徴収制度があるため、個人事業主が不利益をこうむるケースがあるやもしれぬ。(多分、ある)

3、報酬の範囲が不明瞭かつペナルティが

最初の方に書いたけど、どの報酬が源泉徴収に該当するのか分かりづらかったりするし、しかもミスったら支払者側が罰金10%を負担し、かつ源泉納付すべき金額を立替納税し、源泉徴収漏れた部分を相手と連絡取れず回収できなかったりして、もう、それは悲劇よ。

4、税法が邪魔するな

個人事業主に仕事依頼をためらう気持ちが、湧いてしまうのは税法が邪魔しているから。時代遅れだ、報酬の源泉徴収制度はやめよう。

これから、多様な生き方で頑張って行こうぜという時に、比較的簡単に開業できる個人事業主という人生の選択を税法が阻害してよいのか?

ダメよ。それに、女性は法人設立しずらいよ。住所が全世界に公開されるから。だからこそ、個人事業主で誰しもが輝く時代へ(なにこの表現)!

・結論

報酬の源泉徴収制度を廃止して、支払者側の事務負担を軽減。個人事業主であっても腕次第でがんがん仕事をとって稼いで納税する時代にしていこう。オーッ!

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。