農業の販売流通・価格設定

30.6.15 八王子にて、畑会が主催する、農業の販売流通についての勉強会に行ってきました

私は農家を目指している訳ではなく、税理士という立場から公平な税制・利益が出る事業運営・次世代への健全な事業承継、という観点で参加してきました~。

1、参加者と講師の方々

参加者は現役の農家さん・農家さん希望者・流通関係の方・農業に関するお仕事や関心がある方などなど。

講師に、現役の農家さんという立場から流通を支援している法人さんを迎え。

とてもためになる講義だった、なにより印象的だったのは「地元の人は、地元野菜を食べる優先権があると僕は思っている」という発言。

権利、という発想がとにかく素晴らしい!

2、農家の自立

今までの農業の販路と言えばJAだったようです。しかし、農業経営アドバイザー研修でも学んだ通り、JA(農家)の自立、ということが求められているらしい。

恐らく、農地法や農振法の改正で一般企業が農業にコミットできるようになったこともあるのだと思うけれども、農業経営について普通の企業と同じように「工夫してよい」時代に突入した。(食の安全保障上問題が残るので、国から見放されるという意味ではない)

3、農作物の販売代行

東京の都下では、今回の八王子・府中のエリアだけではなく、国立・立川近辺でもこのように農業の販売代行が行われているみたい。

私のような消費者からみると、JAが販売代行業者に代わっただけのように見えるけれども、やはり違うのだろうか?

農家さんが販売代行を行うので、農家さんの思いや利益を反映するような場所で売ってくれることが新しいのかもしれない。

昔は市場経由による農作物の販売ばかりだったけれども、この頃は、マルシェ・産直販売所・スーパー・レストラン・消費者に農家から直接農作物が届くことも増えた、利益も算出しやすいし歓迎する、そのように理解しました。

4、ごちそう野菜と価格転嫁

今回、参加して思ったのは、都市農家にも色々あるということ。

小さい面積でほぼ手作業の農作物と、ある程度の広さがある農場の農作物とでは単価が違うのが当然であり、それを「市場価格」で販売することは、手作業の農作物の価格転嫁が出来ていないということを表している、と私は問題視した。

都市農家の農作物が高価になってしまうと、富裕層などの一部の人向けとなってしまい、近隣住民と都市農家さんとの共存関係が難しくなるのではないか。そのように質問したところ、全然違う回答をいただき、温度差を感じました。

わたしは、農家さんの気持ちとズレているんだ。この差を感じることが最も大事だと思う!

都市農家という小さい面積で品質にこだわった野菜は、「ごちそう野菜」であり、普段使いの野菜とは違う。よそいきの野菜を高値にしてしまうと、食品ロスが生じてしまい、売れ残りが発生してしまうよね。野菜は、鮮度が必要だし天候による市場価格にも左右されてしまう。売れ残りは、農家さんのやる気を削いでしまう。うーん困ったゾ。

農業は日持ちがしないので、損益分岐点で価格設定という話が馴染まない気がするのは薄々気が付いていた。でも、利益を生むという考え方は知っておいて損はないのではないか?

5、都市農家の未来を模索

販売流通について、新しい発想が次々と出てきていて、農業に関する法律も緩和の方向で進んできていることを勉強しました!

都市農家は特殊な事情があることもあり(面積が狭い・都市計画で農地が分断されている)ので、販売経路を工夫して消費者のニーズとの接点が見いだせれば、きっと、きっとみんながハッピーな結末がある!

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。