農業と社会保険 労働条件編 

30.6 農業は不公平。今回は社会保険について農業経営アドバイザー研修で教わったことをまとめてみま~す。

農業経営の勉強でなぜ社会保険が必要なのか!?と思ったわけですよ!社会保険は社労士がプロなのであるから、丸一日かけて素人が勉強する必要性が見いだせないんだけども!と思っておりました。

ところが、農業の社会保険は例外規定が多くて、経営アドバイスの際には社会保険について一定の知識は必要であることが分かった。今、分かった!

・農業の労働条件

1、農業には労働時間制限なし!

農業は、労働時間・休憩・休日については労働基準法の縛りがないらしい。(労働基準法41条)

そんなことある!?私の読み間違いではないか??最初はびっくりした!

農業は、晴れや雨といった天の恵みに左右されてしまうので、月曜~金曜の9時から17時、昼休みは12時から13時、という決まった時間だけ働くというシステムがそぐわないかららしい。(農業従事者は各自疲れたら休憩するシステムらしい。)

例えば、8時から15時までという雇用の約束であっても、雨だから休んでほしい、という事情はOKという理解で合っているのだろうか?そんなことされたら、給与所得者の収入が安定しないのですが・・・。しかし、農業は労働者よりも農家を優先した。

農業の年間を通すと、収穫の時期はメチャ忙しいから休みがなく、冬はやることない、ということもあるので、そういった労働基準法の適用除外という事情があるらしい。

法律の強制がそぐわないという考えに基づいていて、農業の従業員は働かせ放題という意味ではありませんよ。

・公平とはなんだ。

確かに。人間の都合ではなく農作物の都合に合わせないとだよねぇ。しかし、そうすると労働者が集まらないのではないか

・・・農業は食べ物であるから労働者の権利を重視する労働基準法の適用除外におかれている。都会で満員電車で通勤するサラリーマンと同義に考えることに無理があるよね。

しかし、同じ給与所得者という観点からすると、農業は不公平ではないか。しかしいったい、「公平」とはなんだ。

2、残業代は割り増し義務なし

なんと、農業は残業しても割り増しの25%上乗せしなくてよい!実態では上乗せをしている事業主さんが多いとは書いてある。従業員のやる気の問題もあるよね。取り合いだもん。

一般的には、残業をすると時給1000円×125%=1250円が支給。更に深夜早朝であれば25%上乗せであるから、時給1000×(時間超過・深夜早朝)150%=1500円が支給。

これが農業の場合、残業割り増しの労働基準法の適用除外、というものらしく、割増の25%は不要。(ただし深夜早朝25%は必要)

残業しても1時間1000円のまま、ということになる。変だよね、変!

ただし、深夜早朝割り増しは法律上上乗せしなければならぬので午前4時出勤の場合には4時~5時は1000円×125%=1250円を支給。

3、農業労働時間の現実

たとえば雪国のお米農家は、春から秋までが忙しいけれども冬は農閑期でヒマなので、1月から5月まではイチゴ農家でバイトということも行われているらしい。米以外の農作物を作る・冬は勉強と遊び、という選択肢もあるみたいね。

忙しい時期は土日もへったくれもないけど、1年間を通して農業労働時間を換算すると、労働基準法に適合する範囲になるのかもね。

なんというのか、農業って真の事業主は、太陽や大地といった”自然”なのではないか?

4、外国人は別規定

農業は、外国人実習生の受け入れを行うことがあるみたい。この場合は農業とはいえ外国人実習生について通常の労働基準法が適用となり、労働時間に制限がある

日本人と差を付けてはならぬはずが、大人の事情で色々ありまして、農業においては日本人従業員は制限なく残業させてもOKだけど外国人は残業時間に制限があり、たとえ繁忙期であっても外国人には休日を与えなければならぬ。

なんじゃそりゃ!それもある種の不公平ではないか?

外国人雇用は、あちらを立てればこちらが立たずで結局何がしたいんだよ、という感想ですが、

実際のところ「農業の人手が足りないから外国人で賄うけど、単純労働力としての外国人雇用は問題があるから実習生の体裁を整えなければならぬ、外国人の逃亡者が増えているようであるがガンバレ」ということなのかもしれません。今のは独り言です。

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。