税制調査会2018-2回目。自主的申告促進の取り組み

30.10.17開催の税制調査会。第18回。自主的な適正申告を促すための取組みを考えようの回。仮想通貨や金地金の話も。

政府税制調査会2018をレポ。http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2018/30zen18kai.html

今回の資料PDFはこちら。納税実務等の環境変化 財務省 税調18-301017

30.10.30まで会議について視聴(音声)可能。

1、今回のあらすじ

個人がうっかり申告漏れを起こしやすい事案について、もっと簡単に所得捕捉できるようにした方がいいんじゃないかを議論。仮想通貨やシェアエコ(民泊やメルカリ、ネット上の仕事、ランサーズなど)での所得捕捉・自主申告環境整備を頑張ろう。

税理士の33条書面添付制度は活用したいようです。とにかく調査を減らしたいらしい。

委員からの意見からは、仮想通貨の源泉徴収制度(ちょっとないと思うが)、副業の雑所得の概算経費、法定調書の事務負担軽減、ネット上の事業者って何気にワープアなんじゃないか、などのお話が面白かったわ~。

2、自主的な適正申告を促すための取組み

・シェアエコ

シェアリングエコノミー(新しい経済環境)、民泊やデジタルエノコミー、雇用的自営、カーシェアなどの場合には申告漏れが生じやすいので、課税漏れがないように申告環境を整備しましょう!

(民泊は、登録制にしたので官公庁で情報共有すれば所得捕捉できます、と聞き取れるね。そういうことなのね~。)

・仮想通貨

仮想通貨は、平成30年4月~10月まで国税庁が勉強会を行ったらしい。

仮想通貨業者を登録制にしたため、国が管理しやすくなりました。今後は納税者に対して、仮想通貨取引も株式取引みたいに年間取引報告書を交付(ネットで)出来るようになるみたいですよ。

専用アプリに取引を取り込んで、e-taxのソフトで連動してババン!と自動計算してくれるようになるみたい。よかったねぇ~。パソコンが苦手な人は、年間取引報告書を税理士に渡せばOKにするみたい。(普通の税理士依頼だけど。手計算不要となり、金額を転記するだけの楽々システム、です!仮想通貨の計算が出来る税理士を探す必要もなくなるよ。)

てかさ~。そうでなくちゃ。税務判断が不要な単なる集計のために別料金かける必要はないと私は思うわ。仮想通貨の実現利益は、事業用のレシートみたいに、判断が必要ではないので。

(仮想通貨の自動集計システムを謳った税理士紹介会社があったけど、どうするんだろう。)

仮想通貨取引業者は、課税庁に対して支払調書(つまり、誰がいくら儲けたかの情報)を提出するようになっていくのだと思いますわ。ま、現状では資料せんの提出にとどめるのかもね~。

つまり、仮想通貨取引の利益は、もう逃げられないというわけだわ。メデタシ。

・ストップ!金密輸対策

訪日外国人を中心に金地金を密輸し、消費税の還付申告でウハハという悪質な手口があり、平成29年の税制改正で制度を強化いたしました。

現状では、金買取り業者に対し、1回200万円超の金地金の取引は、税務署に対する法定調書が義務付けられているのであるが、金額を細切れにして法定調書を免れようとする悪質な手口が発生したため、より対策を強化したいところです!とのことです。

チクリ大歓迎!と記載してあります。4.5トンもの金の密輸が行われ、我々の消費税は悪質業者へ還付されているのであろうか。許せぬ。

本来は、金を輸入した際に消費税を納税しなければならぬ。例えば、100万円の金を輸入したら、消費税8%で8万円を税関長(輸入専用の税務署みたいなところ)へ納税する。

その後、税込100万円で国内業者に売り、課税売上に関する消費税が74000円、課税仕入れ等が80,000円なので6,000円の還付となる。本来税関長に納税すべき8万円を脱税すると、日本国からお金がもらえる脱税スキームだ。許せぬ。

他にも、海外へ100万円で金を売却したら、輸出免税であるため、税関長へ納税した消費税8%の8万円が還付になります。ルールを守っていれば、一旦払った8万円が戻ってくるだけなのであるが。

これを、当初きちんと税関長に8万円納税していなかったのに還付されちゃうって理解でよいのかしらん?

日本を無事に通過すると消費税がもらえるってすごいゲームじゃないか?

・税務署職員 人材減少

これから税務署の人手が減っていくので、申告や調査を効率化していきます!ICT化を進めて、税務調査については善良なタイプには文書や電話をメインにしていきたい。(臨場を減らすのかな。)

そのためにも、仮想通貨の申告のように「ポチリ」で納税者が申告できる仕組みが大事なのでそこのところヨロシクです。

事前照会といいまして、納税者が「これって税務判断てどうなの」というお問い合わせに応じます、というシステムがあります。

税理士の書面添付制度(33条書面添付)で税理士に意見を聞いてから調査の必要性を考えますとのことです。

33条書面添付とは、租税専門家の役割を重視した措置」、らしいです。

・自首しましょう

アフィリエイターの申告漏れ・医者の複数給与の申告漏れ・公益法人等の申告漏れ(例えば、マンション組合の携帯電話のアンテナ設置等に係る賃貸収⼊)について、注意喚起を行い、直ちに自首すれば無申告加算税はオマケする、という措置を行っているらしい。

ここから読み解けることは、

アフィリエイターの所得はバレている。マンション組合といえども油断できない(恐らく反面調査で補足している)ということが分かる。

知らんぷりしないで、直ちに対応することが大事ね~。

15.00

・委員の意見

冨山委員(経営共創基盤CEO)

4月に調査が入ってまだ終わらない。支払調書が届かないので細かい金額が漏れてしまうし、3年前のタクシー代の行き先など分からない・・・。税務調査はストレスが高いので、支払調書で自動で収入計算してもらいたい。

真面目にやっているのか疑問、サラリーマンは年末調整気分のまま、知らずに納税が漏れてしまう。税のためだけの法人なりを検討したりなど、不健全な経済的行為にならないように、スムーズな納税環境整備はぜひ推進してほしい。

(中里会長まとめ:税は払うけど面倒は減らしたいというニーズはありますよね)

土居委員(慶應義塾大学経済学部教)

シェアエコ、プラットフォーマー業者からの支援は大事。仮想通貨は雑所得なので、仮想通貨の源泉徴収制度も検討したらどうか。(中里会長補足:プラットフォーマー業者は支払いを行う者ではないため、源泉徴収制度はそぐわないかもしれませんね)

シェアエコにはマイナンバー制度の活用(プラットフォーマー業者が)も検討すべき。データフォーマットの統一で閲覧可能にすればよいのでは。

非居住者同士での取引はどうするのか(国内所得に該当する場合)も検討すべきだ。

佐藤委員(一橋大学大学院 国際・公共政策教授)

17ページの金は密輸しているが、払っていない消費税を還付されるのが問題であるので、インボイス制度を導入すれば消費税の還付の問題がなくなるのか?密輸の問題であるのか?

<回答:インボイスが入れば解消するというものではない。インボイス導入のヨーロッパではミッシングトレーダーという問題があり、この問題(消費税逃れ)はインボイス導入でも回避できないと思われる>

税務調査について、データ分析で異常値での査察をしたらどうか。(中里会長補足:現実にはやっていると思うが、言えないと思う)

シェアエコのみならず、正しい申告をしてもらうためには簡素な税制がいいのでは。経費実費をどこまで補足できるのか疑問だ。概算経費を認めてはどうか。雑所得だから概算経費はおかしいだろうが、給与所得控除があるのであるから。

ギグエコノミーは低所得者、新たなワープアかもしれない。税を徴収するばかりではなく、給付をするための情報としても抱き合わせて考えるべきだ。

プラットフォーマーの源泉徴収事業者に該当しないというお話しであるが、源泉徴収をする側・法定調書を提出する側の事務負担も検討すべきだ。

神津リキオ委員(日本労働組合総連合会会長)

給与所得者からの意識とすれば、当たり前の納税がされていると思っているのでどうかよろしく。

合理的なICT化を歓迎する。徴税も頑張って。

神津信一委員(日税連会長)

支払調書は、税務署へ提出義務があるが、支払者への交付義務はない。マイナポータルやメッセージボックスにぶち込むという手段も検討すべき。(そうすれば一元的に本人が分かるのではないか)

仮想通貨はイメージが向上した。源泉徴収制度は難しいと思うが、株式の特定口座のような運用での所得捕捉はよいのではと思う。

岡村委員(京都大学教授法学)

シェアエコには匿名性が高い問題点があること、頑張ろうとする申告者への環境は優しいことが分かった、特定業者に関わらず検討すべきです。頑張ろうとしない申告者へのご対応を引き続き考えていくべきかと思います。

めちゃ丁寧な~。

小幡委員(上智大学大学院法学研究科教授)

相続のような急に納税者になる方へのお知らせなど分かりやすい環境がいい。新しい経済環境で申告サボりは公正さを欠くので自主的に申告体制に誘導すべき。(本人が)情報を把握する仕組み構築は大事である

林委員(東京大学大学院経済学研究科教授)

人員増加もご検討いただきたいです。雑所得の源泉徴収額は少ないので、雑所得の源泉税率を上げたらどうか。還付になれば申告するのでは。

田中委員(醍醐ビル)

法人は一生懸命やっている。個人は大変だから簡素化するのかどうかという観点。シェアエコについて補足することは大事であるが、線引きをして簡素な方法にしたらどうか(恐らく、概算経費の導入を指しているのではないか)

(中里会長補足:確かに、個人の簡素化を追求して法人に負担が寄ってもね、ですね)

中里会長

引き続き、議論は大事。税制以外の制度・業界や税務署の実務上の検討も必要である。前段階で小委員会を作ってあらかじめ議論の整理をしてはどうか。

専門家会合について岡村先生に議長をお願いしていいですか、ヘヘヘ。

総会で当然、提示させていただきます。

次は資産課税です。0.40.00

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。