個人事業主の事業承継 税制優遇を検討

30.12.2 与党税制調査会のニュース11.29を見た。個人事業主の納税猶予制度が議論されている。

具体的な内容は分からないのだけれども。あーだこーだ言いたいじゃん。

・ニュース引用 与党税制調査会

ネットニュースによりますと、個人事業承継に税制優遇つくる方針、とのこと。(gooニュース)→ https://news.goo.ne.jp/article/ntv_news24/business/www.news24.jp-articles-2018-11-29-06410464-html.html

政府・与党は、個人事業主が事業を次の代に引き継ぎやすい状況をつくるため、新たな税の優遇制度をつくる方針を固めた。

自民党税制調査会・宮沢会長「個人事業主の事業承継税制について、法人を昨年手当てしたわけですから、今年は個人について、しっかり手当てをしてほしいということが、いろんな議員から発言がありました」

2025年には、70歳以上の個人事業主がおよそ150万人になる。こどもが事業を継ぐとき、土地や建物にかかる贈与税や相続税が支払えず、廃業に追い込まれる恐れがあるため、次の代が支払う税金を猶予する仕組みをつくる方向で検討していく。

個人の土地の相続では、いまも「小規模宅地特例」という相続税を減らす特例制度があるが、この制度では、事業を続けていなくても税の優遇が受けられてしまうなど様々な問題点が指摘されていた。

そのため、今後、新たな制度を導入したあとは、この特例制度の適用を厳格にすることも検討されている。

・法人と個人事業主の均衡化のつもり?

あのさぁ・・・。法人と個人とは違うんで!!

なんですか、その「法人ばっかりひいきと言われたら困る」的なヤツ!

法人の非上場株式は買う人がいないので、相続が発生した時にキャッシュが用意できない場合が多く、納税を猶予するという相続税のオマケ規定がある。(といっても、原則として永遠に相続税を負担しなくていい訳ではない)仕組み自体を説明すると長くなるから省略しちゃうけど。

先月、私は農業ウィークで、農業について連続で勉強をしてきたの。その時に教えてもらったのが、「酪農も農業」ということ。なんと!酪農の存在を忘れていた。(コラッ)

・個人事業主の経営設備にも相続税

理論上は、設備がほぼ不要な畑と違い、ウシ・ブタ・トリなどを飼っている場合にはウシたちのおうちがいるよね。牛舎は、「建物」になるね。

飼っている、ウシ・ブタ・トリは、「棚卸資産」になるかな。

いずれも、個人事業主である酪農家の経営者(お父ちゃんとする)が持ち主とするとお父ちゃんが亡くなった時、牛舎は相続財産だし、ウシも相続財産になるね。

レストラン経営の個人事業主はたくさんいるよね。潰れそうで潰れない、街の中華屋ってあるよね。あれって多くはお店の敷地を自分が所有しているから、家賃支払いがないから何とかなっていることも多いらしい。

中華屋のおやっさんが亡くなった時、店内設備は相続財産だし、冷蔵庫の中の材料も相続財産になるね。

・事業承継促進には程遠い議論

ところで、事業承継の税制優遇は話のきっかけに過ぎないので、税制優遇を広げること意義を感じないね。

相続人は、親の事業について儲からないから事業を継がないので。相続発生時にお金がない場合には延納制度の緩和でいい訳だ。条件が厳しい納税猶予である必要はない。

相続税が納税できないから事業承継出来ないのではない!兄弟の事情とか、将来不安とかあるし~。

だいたい、牛舎やウシの相続財産が仮に1億円あったとして、借入金もあるのが一般的なのではないですかね・・・。

そうすると、牛舎やウシの納税猶予制度を利用した場合、個人事業用借入金と相殺した後の部分にのみ納税猶予対象にしないと、法人との不均衡が生じますよね・・・・。現預金を事業用資産へ形を変えておけば相続税が節税になるような仕組みを許すことはよくない。

事業承継者以外の相続人の税負担にも影響させるのか否か?

どういう議論が行われているのか?議論の中身が分からないからなのか、あんまりメリットを感じていないんだけど?

確か、税理士会でも「個人事業主の事業承継にも配慮」みたいな税制改正要望を見た気がするけど、ふんわりしてたよね~。

個人事業主の相続税の納税猶予は、今年は大綱に織り込まれないのではないか、というのがおのでら予想。

・小規模宅地等の特例の厳格化が議論

土地の小規模宅地等の特例についても検討しているみたい。

小規模宅地等の特例は、亡くなった人の生活基盤については、相続税負担を軽くするというオマケシステム。

亡くなった人の持ち物であった土地について、自宅や事業用の土地であれば、相続税の計算をメチャ安くする仕組み。自宅や、経営していたお店などがある土地にたくさん相続税をかけると、自宅や相続人が承継するお店の土地を売却しなくてはならなくなっちゃうのは可哀想だからね。

今回の与党税制調査会では、どういう議論が行われているのか?一旦は相続税申告期限までに事業承継していれば小規模宅地等の特例OKとして、その後数年後に事業承継しているのか再審査する、みたいな考えなんだろうか?知らんけど。

小規模宅地等は、他の相続人の相続税にも関係してしまうので無理があるんじゃないか?

確かに、相続税申告期限の翌日に事業用の土地を売却してもOKではあるんだけど、どのくらい問題なのかしら?

個人事業主の事業を承継したかどうかなんて、どうやって把握するのだ?街の中華屋まで、税務署が見に来るの?農地法の管理下の農地とは違うんだけど、どう考えているんだろう?

相続税の締め付けによって、世襲を促進するのはいかがなもんでしょうか

食べ物を扱う農地は世襲を前提とした考え方があるけど、街の商店街の経営と、規制がある農地とは違うよね。

これから、個人事業主の相続税の納税猶予制度・小規模宅地等の特例の厳格化、どのような議論となるのか、注目、です!

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。