ふるさと納税に関する税理士会の意見

31.3.28 本年は、支部へふるさと納税について意見書を提出したいと思います!川崎市は東京都23区などと同じ、ふるさと納税による財源減少に悩んでいるのであります。(企業版ふるさと納税は、あんまり勉強していないから今回は考慮外です)

ふるさと納税という仕組みが法律でOKなのであるから、バンバンやってよい。過度な返礼品がどうのこうの言ったところで、法律でOKなのに「モラルで」っておかしいでしょ。

だから、6月からでしたか、法律で返礼品に関連する規制がはじまるんでしょ。泉佐野市への制裁のような、「空気読んでよ」はナシですよ。

ところで、税の専門家という税理士さんたちは、ふるさと納税や寄付金についてどう思っているのか?

1、ふるさと納税についてどう思いますか?

おまっとさんでした。(誰も待ってない)おのでら調べです。

周りの税理士さんに、ふるさと納税についてインタビューすると、

「ふるさと納税自体はおかしい。廃止だ!」

「寄付は見返りを求めないものであるべき。寄付金控除は廃止すべきだ」

「自分が生まれ育った故郷に納税したいという気持ちは重視するべき。ふるさと納税は継続すべき」

など、意見はそれぞれ。

2、日税連のふるさと納税への意見。

さて、税理士会のフォーマルな意見はどうかしら?インターネット検索してみました。

税理士会の親玉(?)のような日税連(日本税理士会連合会)からの「ふるさと納税」に対する意見は、平成30年度の税制改正建議書に出ている。

日税連 平成30年度税制改正建議書 (PDF)→ http://www.nichizeiren.or.jp/wp-content/uploads//doc/nichizeiren/proposal/taxation/tax_reform/kengisyo-H30.pdf

17ページより。

結論が「本来の寄附制度にしよう」です。ふんわりしている。方向性が1つに定まらなかったのが分かる。結局、どうしろと言いたいの?

なお、H28,H31はふるさと納税の記載なし。

22.ふるさと納税制度について、本来の寄附制度となるよう見直すこと。
ふるさと納税制度は、ふるさと応援等の観点から、納税者の現住地から出生地等に、その選択で一定額を任意に納税できる仕組みとして導入された。

ふるさと納税の受入れ額は、制度が広く周知されたこと、税制改正により特例控除枠が拡大されたこと、さらに地方公共団体が寄附を獲得するため返礼品を充実させたことにより、近年急増しており、平成 28 年度では 1,653億円となっている。

また、東日本大震災や平成 28 年熊本地震の際には、被災地を応援しようと、ふるさと納税を通じて返礼品の伴わない寄附が全国から集まるなど、地域活性化のための有効な手段にもなっている。
しかし、税収格差の是正は、税源移譲により偏在性の少ない税源を確保すること、地方交付税制度を充実することなどにより行うべきである。

また、ふるさと納税を利用する納税者の多くは、寄附の使途について関心が薄く、返礼品目当てに寄附を行っており、本来の制度の趣旨から逸脱し、寄附文化そのものをないがしろにするとの指摘がある。さらに、寄附額に対する返礼品の価格の割合が高いことにより、高所得者に有利で不公平な制度となっている。
したがって、ふるさと納税制度については、本来の寄附制度となるよう見直すべきである

3、各税理士会の意見はあんまりなし

ふるさと納税について、いくつかの税理士会の意見書の目次を見てみました~。

全部の税理士会まで確認できなかったけれども、つまり、全体的に税理士会として意見が出ていないね。まとまらないのか、現状でヨシと思っているのかは不明です。

社保控除、なんて書いてあるのは他の研究案件もあった関係で記載してあります。

近畿会のH31、H30は、ふるさと納税も社保控除もなし。

東京地方会 H31,H30はふるさと納税も社保控除もなしH26まで見たけどなし

東京会 H28~H31 ふるさと納税も社保控除もなし

関東信越海 H31 なし

北陸会 H31なし

4、三重県の税理士会の論文。必見です

平成23年~平成25年にかけて研究された論文です。

東海会 シンポジウム 三重会 77ページから → https://www.tokaizei.or.jp/infomation/pdf/kenkyuuroku.pdf

100ページにはまとめが書かれているよ。

ふるさと納税のよい点や課題点などが序盤に書かれ、中盤は三重県の各市町村のふるさと納税実績などのデータ(この辺は読み飛ばし)。続いて東北の震災寄付金についても言及している。東京都のふるさと納税実績についても言及があり、尖閣諸島の寄付金、と銘打ったところ14億円が集まったというデータは興味深いね。

「ふるさと納税は、寄付というよりマインドの問題が大きく、自分の税金の使い道を指定できるのがいい」と結んでいる。市町村間の助け合いといった表現もあったけれども、数年で返礼品目当ての寄附が殺到してそれどころではなくなっちゃったねぇ。

とにかく、三重県会の論文は面白かったです。ありがとう!

5、近畿税理士会のふるさと納税廃止論(H23)

近畿会 H23 意見書 ふるさと納税廃止論。引用しました!近畿会ってなんか激しいよねぇ。好き。

私は同じ意見です~!このような問題点をクリアするべきよね。8年前の意見は、現在への予言に見えるもんね。

ふるさと納税制度を廃止すべきである。 (地方法 37 の 2,314 の 7)
【理 由】
ふるさと納税は、地域に密着した民間公益活動やわが国の寄附文化を一層促進するという観点から創設された。

しかし、導入されたふるさと納税は、寄附金控除という方式を採用しているものの、納税者がサービスを受けている地方公共団体に納付すべき税金の一部を削減し、サービスを受けていない地方公共団体にその一部を納税する点では、実質的には当該地方公共団体への納税と異ならない。

本来、地方税は、応益負担の原則、あるいは負担分任の原則を根拠に課されるものであり、同じ都道府県、市町村に居住してて、ふるさと納税を行った者の方が行わなかった者よりその地の納税額が少なくなることは、この地方税の原則に反することとなり、公平な税負担を害している。

また、納税者が納税地を自由意思で選択できることは租税の強制性に反する。しかも地方交付税との関係で、寄附を受けた地方公共団体の基準財政収入額にふるさと納税分が算入されないに
もかかわらず、一方で、税額控除をした地方公共団体の基準財政収入額にはふるさと納税分の 75%相当額が算入されるという矛盾を引き起こしている。

このようにふるさと納税制度は、地方自治の大原則を歪め、租税の中立性の観点からも問題が多い制度であり、早急に廃止すべきである。

6、栃木県の法人会のアンケート

税理士会の意見書ばかりを漁っていましたが。ひょんなことから法人会の会員さんのアンケートを発見しましたわ。

栃木県の法人会 H31 意見書。末尾のアンケートがおもしろい → http://www.sctv.jp/~sanohou/08member/h30soukai/02_houkoku.pdf

地方にとって、ふるさと納税は死活問題?

都会にいて、ふるさとの人々の思いは分からないわたし。だけど、感情論で既得権益でこのままでいいのかな、と思う。

税金は、コスパではないんですよ。あるべき税制をきちんと検討するべきよ。

 

(関連過去記事) ふるさと納税と地方交付税 → https://mina-office.com/2019/01/03/furusato-koufuzei/

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。