ふるさと納税と地方交付税

30.1.1 ふるさと納税の過熱感がやーこれ言われていまして、そろそろ見直し時期よね~。

1、これがいい!ふるさと納税制度

私が心の中で提唱する、ふるさと納税制度は、「国税の所得税のみで寄付金控除をOKとして、住民税からは差し引かないシステム」にすること。

合わせて、「ふるさと納税による収入の70%相当額の地方交付税を減らす」こと。

これだよ!

(関連過去記事)これがいい!ふるさと納税 → https://mina-office.com/2018/09/26/furusato/

これやれば、東京都や川崎市が「え~ウチの税収が減っちゃうから、ふるさと納税は応援したくないなぁ・・・」な議論が減るよ。

2、地方交付税とふるさと納税

・地方交付税とは?

地方自治体によっては、過疎化高齢化などの理由で、市民からの固定資産税や住民税だけでは運営できない、言ってみれば貧乏な自治体があるよね。

そういう貧乏な自治体には、運営破綻しないように国から一定のカンパをしてあげている制度があるんだって。地方交付税、というらしいですわ~。

 地方交付税は、本来地方の税収入とすべきであるが、団体間の財源の不均衡を調整し、すべての地方団体が一定の水準を維持しうるよう財源を保障する見地から、国税として国が代わって徴収し、一定の合理的な基準によって再配分する、いわば「国が地方に代わって徴収する地方税」 (固有財源)という性格をもっています。

(総務省HPより)地方交付税制度の概要 → http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/kouhu.html

・地方交付税「不幸?」付団体 川崎市

現行制度は、地方交付税をもらえずに自立を頑張る自治体には、市民がふるさと納税をすると自治体の税収が減り、自治体が借金する憂き目にあってしまう。マズイっしょ!

なお、川崎市のふるさと納税による減収額は43億円。不交付団体を受け入れることに反対する考えもありますが。私は自立を頑張るのはいいと思うのよ。

「不交付団体は財政的に自立した豊かな自治体と思われがちですが、実態は非常に厳しく、地方財政制度が複雑でなかなか理解されません。40億円ともなると市民サービスへの影響は甚大です。肉や魚といった返礼品合戦は、本来のふるさと納税の制度の趣旨から逸脱していますので、限度額や寄付先の制限など、高所得者に有利な現状の制度の見直しを改めて国に求めています。

(タウンニュース川崎市多摩区版31.1.1号より)川崎市長の新春インタビューより→ https://www.townnews.co.jp/0203/2019/01/01/463234.html

ぶたっくす

 

・ふるさと納税と地方交付税争奪戦

次に、地方交付税を受け取っている自治体は、いわば国から「アナタ、お金たりないでしょ」とカンパを受け取っているのであるが。大きい都市でも、もらっているところはある。

(横浜市財政局HPより)平成29年度の横浜市。地方交付税を250億円ゲット?→ http://www.city.yokohama.lg.jp/zaisei/org/zaisei/zaiseijoukyou/pdf/29gaiyou.pdf

お隣横浜市も、意外ですが地方交付税を受け取っている。

さらに、地方交付税を受けている団体は、ふるさと納税による減収額の75%(これが上限かな?)は国税から補てんされるというウマーイシステム。

平成30年3月には、総務省に対して、市町村が要望をしているよ。ワンストップ制度についての調整や、ふるさと納税の税収についての要望があった。

総務省は、「75%以上の補てんはしませーん」とのご回答。他にも、ふるさと納税の収入は、税収と考えないように、との有識者の意見があったらしい。新設当時の意見にこだわる必要あるんですかね。

 ワンストップ特例制度による個人住民税所得割の寄附金税額控除については、控 除対象や控除限度額等について地方税法に定めのある一連の所得控除・税額控除の 一つであることから、通常の算定における75%以上に減収額を算定に反映させるこ とは適切ではない

 

有識者等による「ふるさと納税研究会」の報告書において、「「ふるさと 納税」の趣旨を踏まえれば、「ふるさと納税」に相当する寄附金についても、これ までと同様の取扱いとし、寄附を受領した地方団体の地方交付税が減少することの ないようにすることが望ましい。」とされている

(総務省HPより 市町村分 PDF 16ページ)→ http://www.soumu.go.jp/main_content/000554676.pdf

別途、ふるさと納税の税収が特別ボーナス的にゲット出来るわけ。(使途はふるさと納税をする市民が選べるわけであるが)

(総務省HP)平成30年度の全国の地方交付税 → http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/kouhu.html

3、過剰広告、過剰な期待

そりゃ、地方自治体からすれば、広告費もバンバンかけ、返礼品マウンティングが始まるよ。そりゃそうよ~。

地方公務員は、営業マン化しているんじゃない?一過性の税収だから継続的な予算をつけないようにネ~。

結果として、ふるさと納税をする人はめちゃ安く返礼品が貰えることになるよね。

ふるさと納税って、寄付じゃないし、別に節税でもない・・・。単なるお金の循環システムなんだけど。

広告代理店やらポータルサイトの税金を原資にした売上フィーバー、そんなところかしら。

こんなにふるさと納税やってくれCMや返礼品の広告をやっちゃって、おかしいと思い始める人も増えたよね。

4、ふるさと納税の循環システム

ふるさと納税は、住んでいる自治体の税収が減り、国からの補てん金が増え、まぁ、巡り巡ってみんなの税金が使われているって仕組みなんですよねぇ~。

しかし、法律で「やっていい」と書いてあるのであるから、堂々とふるさと納税を行い、所得税率を下げ、住民税を安くし、結果として振り込んだ金額と同額に近い金額が戻ってくるという謎システムの恩恵を受けましょう!

5、返礼品についての税制改正案

見直すべきは、税の仕組み!

平成31年税制改正大綱で、返礼品についての言及(高額なものや地元のものでなければふるさと納税の該当NG、という案)がありました~。

返礼品の種類など、「自治体側の対応に制限をかければいい」って、議論が少しズレてない?目先の対応ではなくて、本質を議論すべきでは。

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。