妻の介護保険料の社会保険料控除@税制改正要望

2020.4.4 今年もやります!税制改正要望(支部あて)。前年と引き続き、妻(扶養されている配偶者)の年金天引き介護保険料を、夫の所得控除にしてほしいの要望、です。

去年の反省点・本年の課題点(他の場所でも意見提出した)を加味して、「支払った」に着目して内容記載しました~。(去年は色々書きすぎて、着目点が散ってしまった反省点。)

今年も支部に税制改正要望するよー!

1、社会保険料控除

社会保険料控除の根拠法は、所得税法74条です。

専業主婦の妻が65歳になり、年金が20万円ほどもらっていて、夫の稼ぎが多いため妻の介護保険料が多めに徴収されてしまうケース、を想定しておりますん。

妻の年金から天引きされた介護保険料は、夫の社会保険料控除にできません。ヒドーイ!でもこれが法律ですわ。

大事なのは、所得税法74条の次の3つの部分だと、私は思うのです!

①居住者が(夫が)

②親族が負担すべき社会保険料を(妻が妻の年金から天引きされる介護保険料を

支払った場合・・・・には(妻の年金からの天引きだからアウト~。ってのがヘンじゃない?

(国税庁HPより タックスアンサーQ5 妻の公的年金から特別徴収される介護保険料などの社会保険料) → https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1130_qa.htm#q5

(社会保険料控除)
第七十四条 
居住者が、各年において、
自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を
支払つた場合又は給与から控除される場合には、
その支払つた金額又はその控除される金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。

2、妻の年金天引き介護保険料の控除の行方

①支払った場合、に該当せず

妻が負担すべき社会保険料は、74条の「居住者の負担すべき社会保険料」にばっちり該当します。

だけど、「夫が支払ってないじゃん」でアウト!

今回のケースは、夫が妻を扶養している訳だよ。年間ぽっちりの妻の年金だよ。

現金か夫の口座引き落としで介護保険料を支払えば、夫の社会保険料控除にできるんだよ。

けど、介護保険料(平成12年開始)は、とりっぱぐれがないように年間の年金が18万円以上の人には本人の年金から差っ引くことにしてるわけ。

支払方法を選ばせてくれないところに、問題もあると思うんだよ。(これは介護保険法の問題)

②世帯の所得を加味して負担するシステム

しかも!

介護保険料は、世帯の所得で金額を算出するので、妻のぽっちりな年金収入だけでなく、夫の所得も加味してしまうのです。鬼か!

・社会保険システムの歪み

・・・社会保険料は、会社担当で給与所得の時は各個人の給与額で負担額が決まるのに、市町村担当になるといきなり世帯単位で計算されてしまう。これもおかしいよね~。

・介護保険料、ナンボですか?

妻が1人暮らしで、妻の年収が公的年金収入20万円だけだった場合は、本人が住民税非課税なので介護保険料は24,180円(年間)。(横浜市・平成31年度分の場合)

同一世帯に市民税課税者がいる場合には、66,960円(年間)。

横浜市HPより(平成31年度分介護保険料の計算)市町村により、計算方法は異なります

世帯の所得を加味するなら、世帯主の口座から引き落とせ!でも出来ない!選べません。

(横浜市の介護保険料の計算 平成31年度分 PDF)→ https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/fukushi-kaigo/koreisha-kaigo/kaigo-hoken/kaigo-hoken-hiyo/kaigohokenryo.files/0001_20190607.pdf

・徴収側の理屈優先か?

制度側の都合で妻負担分の社会保険料控除が消失するってどーゆーことだ

扶養控除対象の妻の、介護保険料は、夫の社会保険料控除にしてもよさそうなもんじゃないの?

法律は、血も涙もないの?

介護保険料導入時(平成12年)の法律の不備でしょ。そうだそうだ。

3、改正すべき法律案

では、どのように法律改正をすべきなのか。小さいアタマで考えましたわ。

現行の、所得税法74条「居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を支払つた場合(後略)」

は、改めまして、

「居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を支払つた場合(同一生計配偶者の特別徴収における介護保険料等を含む)」(後略)

とすればよろしい。

うん。

4、税制改正のメリット

「税制改正をしたとして・・・。妻の負担分の介護保険料が年間7万円程度の社会保険料だと、所得税の減額は(税率5%だと)3500円くらいだね・・・」と思うよね!

でもそれは本質ではない。納税者の思いとズレています!

税は、単なる国家の運営費徴収なだけではなく、国民同士の公平感・連帯感を感じるためにもあると思うの!所得税では、税負担について家族の扶養関係を反映しています。

所得税では、夫婦は所得を別々に税金計算するんです。その方が有利だから。一方、介護保険料は夫婦(世帯)の所得を合わせて計算している。だったら、税法は介護保険法に合わせて、(扶養されている)妻負担の介護保険料も夫の社保控除にしたっていいんじゃないの。

納税者が「これって変だよね?さっき、医療費控除は夫婦のどっちの所得控除でもいいって言ったよ?」という税制に対する不信感を払しょくし、納税者の思いを税法に反映しましょう!オーッ!

・年金機構からのハガキ多すぎ、解決案

・・・ついでに。年金機構からの大事じゃないハガキが多すぎる。

住民税を前取りの源泉徴収にして介護保険料と後期高齢者保険料も前取りの源泉徴収的なシステムにしてほしい。年金機構から

6月(住民税の計算)・

8月(介護保険料の計算)・

10月(後期高齢者保険の計算)

に年金受給者にあんまり大事じゃないハガキがそれぞれ届く。

そりゃ~1月末に届く、(大事な)公的年金の源泉徴収票も捨てちゃうよね。

これは制度設計のミスだと思います。タテワリの弊害ですよ。

公的年金は基本的に毎回同額入金して、6月の年金額で精算すればよろしい。年金の年末調整制度を導入すべきね。(6月入金分くらいまで時間がないと間に合わない)

 

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。