税務訴訟資料より。「年金の源泉徴収額について説明を!」

2021.5.9 税務訴訟資料より。年金受給者が、年金の源泉徴収額について税務署に説明を求めたところ、不十分な説明・対応が悪かったから税務署は謝れ!という事案です。

納税者は、謝罪と損害賠償金300万円を求めましたが、負けました。

年金の源泉徴収は、令和2年から税制改正がありました。これまで、年金受給者は扶養親族等申告書の提出がないと、多めに源泉徴収されていたのです。

令和2年以後、年金受給者から扶養親族等申告書の提出がなくても、公的年金等控除相当額、社会保険料控除、基礎控除は控除して源泉徴収するようになりました。(たしかこんな感じ・・・)

所得税の確定申告で還付申告するために来場する納税者の多くは年金受給者でしょう。年金課税、年金受給者の気持ちに寄り添うようにしたいものですね。

「どうして年金の通知書に記載された金額と、源泉徴収額が異なるんだ!」と税務署に説明を求め、その紆余曲折は分かりませんが、税務署は警察を呼び、納税者は税務署の外に出されました。・・・・。

納税者の主張は次の通りです。

第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。

2 被控訴人は、控訴人に対し、平成28年10月の控訴人に対する年金振込通知書に記載されている平成29年2月の源泉徴収額2万0115円の計算式、根拠(パラメータを含む。)及
び正当性を、法の支配に則り誠実正確に説明する義務がある。

3 被控訴人は、上記2の源泉徴収に必要な控訴人に関する全ての情報を持っているにもかかわらず、時の税法の適用からも逸脱した税額を計上し、控訴人の利益や人権を阻害していることを直ちに改めるべきである。

4 被控訴人の税務職員は、年金からの特別徴収において個々の申告納税者と同様、低所得者ないし年金生活者に対しても人権ある市民として対応すべきである。

5 低収入の年金生活者に対し、扶養親族等申告書の提出・不提出により、源泉徴収税率を5.105%・10.21%と区分けして適用することは、差別であり、廃止すべきである。

6 荒川税務署職員が、区民の控訴人に対し、課税主体としての正常な業務も忘れ、区民の正当な説明要求をも拒絶し、警察官による退所をさせたのは甚大な人権侵害であるから、謝罪文を
請求する。

7 被控訴人は、控訴人に対し、300万円を支払え。

 

本件は、4頁ほどで読めるので、年金課税、年金受給者について理解が深まりますので是非お読みください!

税務訴訟資料 第268号-6(順号13111)
東京高等裁判所 平成●●年(○○)第●●号 説明義務等確認、謝罪文請求控訴事件
国側当事者・国
平成30年1月18日棄却・上告
(第一審・東京地方裁判所、平成●●年(○○)第●●号、平成●●年(○○)第●●号、平成2
9年9月14日判決、本資料267号-112・順号13061)

国税庁HP 税務訴訟資料 平成30年より(PDF) → https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2018/pdf/13111.pdf

URLこちらから。13111→ https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2018/index.htm

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。