事業開始の日とは?を考える

2022.8.28 個人事業者の青色申告承認申請書を提出しようとして、迷った案件があり。事業開始の日とは?を調べてみます。

0、青色申告承認申請書の期限に不満があります

だいたい、青色申告のように「帳簿作成を応援します」の制度に事前の申請が必要ってのも気に入らないんです(青色取り消しの関係でそうなっていると思うけど)。

青色申告は確定申告の期限と同じにすればいいのに。

1,消費税 事業開始日について

今日、見つけたのは、「(個人事業者の消費税について)事業開始前の準備段階で事業に該当する」というトンデモな裁決事例。そんなわけ無いと思うんだけどな!!

開業の準備期間の仮払消費税が還付されない問題点があるんだ。。。これは、税制改正でなんとかすべきでは?免税事業者が還付申告出来ない問題点なのか、課のみ非のみ共通、の区分けがケシカランなのか、考えを整理しなくちゃ。。

※ 追記9月5日 法人の開業前の課税仕入れは、通達。

9-6-1 法人の設立期間中に当該設立中の法人が行った資産の譲渡等及び課税仕入れは、当該法人のその設立後最初の課税期間における資産の譲渡等及び課税仕入れとすることができるものとする。ただし、設立期間がその設立に通常要する期間を超えて長期にわたる場合における当該設立期間中の資産の譲渡等及び課税仕入れ又は当該法人が個人事業を引継いで設立されたものである場合における当該個人事業者が行った資産の譲渡等及び課税仕入れについては、この限りでない。

(注) 本文の取扱いによる場合であっても、当該法人の設立後最初の課税期間の開始の日は、当該法人の設立の日となるのであるから留意する。

インボイス制度が始まるんだし、徴収ばかりではなく、還付についてもちゃんとしないと事業者の納得と国民の信頼が得られないと思うんだよ。

(平成24年6月21日裁決)

国税不服審判所HPより 歯医者さんが開業前に準備した設備投資の消費税還付が否認されたはなし(平成24年6月21日裁決)

→ https://www.kfs.go.jp/service/JP/87/22/index.html

(平成29年6月16日裁決)

国税不服審判所HPより 太陽光事業を始めようとした会社員の設備投資の消費税還付が否認されたはなし(平成29年6月16日裁決)→ https://www.kfs.go.jp/service/JP/107/10/index.html

消費税施行令
(事業を開始した日の属する課税期間等の範囲)

第二十条 法第九条第四項に規定する政令で定める課税期間は、次に掲げる課税期間とする。

一 事業者が国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間
二 個人事業者が相続により法第九条第四項の規定の適用を受けていた被相続人の事業を承継した場合における当該相続があつた日の属する課税期間
三 法人が合併(合併により法人を設立する場合を除く。)により法第九条第四項の規定の適用を受けていた被合併法人の事業を承継した場合における当該合併があつた日の属する課税期間
四 法人が吸収分割により法第九条第四項の規定の適用を受けていた分割法人の事業を承継した場合における当該吸収分割があつた日の属する課税期間

2、所得税 事業開始の日

2022.8.28現在、法律では決まってないようです。(税務の場合、そんなに何でもかんでも法律で決める必要もないと思います。申告納税制度なので。)

・わたしの税理士事務所の場合

私の場合、平成29年3月に税理士登録が完了したけれども、平成29年5月(税務支援)まで仕事がなかったので・・・・

私は、開業日を初めて売上が立った、平成29年5月にしました!

開業費って、どのくらい前まで遡って計上できるか?という質問を受けたことがあるけど、「コレ!」という回答はできないです。実際には、「何年前」ではなく「どんな?出費?」を重視しています。

私は事務所を借りて、確か1月から事務所家賃を払いましたので、開業費計上がありました。

開業日について、もしかしたら税理士登録が完了した3月が妥当だったのかもしれない・・・・。

「自営業をする準備が整った!顧客がいないだけ!」は、いつが事業開始日なのかしらね。

レストランのような店舗だったら、「3月29日オープン!5月2日までノーゲスト!」という状況だったわけです・・・・。(かなしい)とりあえず、チラシ配布していないので、対外的な開業日は、私が決めました。

・店舗の場合

レストランやネイルサロン、マッサージ店の場合、開店前に広告を出すよね。〇月〇日オープン、と対外的なチラシをまくでしょ。開店日が事業開始日でもOKでしょう。(すぐに青色申告承認申請書を出す)

プレオープンやスタッフのトレーニングがあるため、開店日前を事業開始日としてもよさそうね。大安にしたり、○月1日にしたい、など、ズルじゃなければOKでしょうね!(すぐに青色申告承認申請書を出す)

・消費税との関係

店舗の場合、冒頭で記載した「消費税の事業開始の日」との食い違いが生じることがあるので、やはり冒頭の裁決丸のみ(事業開始の準備を始めた日が事業開始日)は受け入れがたいですね。その裁決に出ている歯医者さんと太陽光の個別事例ではその判断なのでしょう。一般的には受け入れがたいのでは。

前年12月に店舗賃貸開始や消耗品購入、チラシ配布などの開業準備しておいて本年1月にオープンする場合、設備投資の消費税還付が出来ないこととなり、現実的にはそういう対応を税務職員はしないと信じてます。

・不動産オーナーの場合

判断が難しいと思う・・・・。

会社員が副業でぽっちり不動産を購入して貸付するのか

転居するため旧自宅を貸し出すのか

入居者がいる不動産を購入して、すぐに賃料収入が発生するのか

新しく借り入れをして更地を購入して建物を建てて貸付けするのか

相続取得したのか

それぞれ、事業開始日に迷うところです。店舗として貸す場合、消費税の問題もありますわね。

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ああ、分からない!相談してくる!

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。