令和5年度税制改正が可決成立しました @相続時精算課税

2023.3.29 さて、令和5年度税制改正は可決成立しました。年末に税制改正大綱が発表され、みんなアレコレ言った後は話題に上がること減りましたが、

令和5年2月3日に法案が財務省HPに載り、令和5年3月28日に参院本会議で可決成立しました~。

だいたい、大綱が出たあたりで話題になった後は「ふ~ん」てな感じだけど、法案が可決成立したってことは重要よね!

0、令和5年度改正 相続税部分の抜粋

・令和6年1月1日以降の相続時精算課税制度に、贈与税の基礎控除110万円が創設される。

・上記の相続時精算課税制度の贈与税の基礎控除110万円は、相続時精算課税財産にカウントしないし、相続税の生前贈与にも加算されない。無税の贈与となる。

・暦年贈与は、これまで3年前まで生前贈与加算されていたが、7年前まで生前贈与加算される。(ただし4年前~7年前は最大100万円は生前贈与加算無し)

※ 細かいことはご自分で見といて。

1、ケシカラン改正、相続時精算課税の基礎控除110万円は加算無し

令和5年度のケシカラン税制改正は、相続時精算課税の基礎控除110万円が生前贈与加算されないこと、です!

(過去記事:相続時精算課税財産の新設基礎控除110万円の生前贈与加算について。条文も載せてるよ!)→ https://mina-office.com/2022/12/28/seisankaisei2023/

令和5年度 相続税法の改正 新旧対照表 PDF(財務省HPより) → https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/211diet/st050203s_4.pdf

2、ケシカラン部分

ケシカラン部分は、相続税法21条の15です。(相続財産への加算の部分)

ちなみに、相続税法21条11の2は、相続時精算課税の基礎控除110万円のことです。

まだ、e-govが更新されていないけど、更新されて覚えてたら条文を貼ります。

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相続時精算課税に、申告不要制度を作ろうの議論はまぁアリかなと思うけど、なぜ3年以内の生前贈与加算(令和6年1月以降は7年以内へと延びる。段階的に延びるみたいだけど条文未確認)にしなかったのかと!

どうしてわざわざ、相続税法21条15の2を創設してまで、精算課税の基礎控除110万円を相続財産に加算無ししたかったのか!ケシカランですよ。

相続税法21条15の2は必要なかった!相続時精算課税の新設基礎控除110万円は、暦年贈与の110万円基礎控除と平等に7年以内を加算すれば公平であった!

相続時精算課税の「暦年贈与の基礎控除110万円が受けられなくてもったいない気持ち」と事務負担軽減の観点から、相続時精算課税の贈与税の基礎控除110万円が出来たのであるから、暦年贈与の基礎控除110万円と取り扱いはお揃いにすべきであった。

なぜ、さらに不公平な税制にしたのか!理由を知りたいよ!

※ 贈与税の基礎控除は60万円であって、措置法70条の2の4で贈与税の基礎控除を110万円にする、としている。贈与税の基礎控除50万円が追加されているわけじゃないようです。相続時精算課税の贈与税の基礎控除110万円が始まるので、措置法70条の3の2が出来た。相続税法で基礎控除は60万円とありますが、このような事情で基礎控除額は110万円なのです。え、こういう話はつまらないですか?

3、相続時精算課税の建前

もともと、相続時精算課税は、次世代へ多額の贈与をする際に贈与税負担が阻害要因とならないよう、次世代への財産移転を早めて欲しいという政府の思惑であってケシカラン制度なのです。

相続税は富の再分配の機能があるのに、相続時精算課税ときたら金持ちの家の子を優遇する制度です。

しかしです、建前はありました。

従業員を多く抱える株式会社の経営者交代のようなケースや、不動産オーナーの認知症リスクを想定して創られたのが相続時精算課税制度だと思うんだけど。(と、信じたい。またコンメンタールで勉強しておきます)

従業員や取引先、入居者が困ってしまうなら、生前贈与で多少の税の負担減があってもしょうがないかな~と私は思うので、制度に対して一定の理解はあります。

今回、新設される相続時精算課税の基礎控除110万円を加算しないのは、どんな建前なのかまったく不明。節税目的?(最大で670万円の相続税の課税財産を減らす目的?)

相続時精算課税を選ぶと、暦年贈与の110万円の基礎控除が使えないからもったいない~と思うような富裕層は少ないと思います。なぜかというと、富裕層の場合、毎年のちょいちょい贈与の贈与税の方が安い(税負担が軽い)んだから。(いいな~)

税制改正で庶民の話題にして、贈与すると節税と誤認させたいとか!?(ありえる・・・・)相続時精算課税の利用件数を増やしたいという数字稼ぎ目的かも?(これだナ)

4、庶民の相続時精算課税制度の活用

相続時精算課税制度は、一旦選ぶと撤回できないので、「これは絶対に相続時精算課税を選ぶのがいい!」という限定された状況下でなければ、相続時精算課税は選ぶべきではない

(せっかくお勉強したから制度を使いたい、という人は結構多い。だからセミナー営業とかが無くならない。)

庶民が「基礎控除が税負担無し!」に飛びつくのヤメた方がいいですよ。数年後に「300万円贈与したい」のような時ってあるし、相続発生してから「兄にだけ300万円を贈与したから、私の相続税が高くなった!」でケンカするからヤメた方がいいです。(相続時精算課税選択の場合、とある年に300万円の贈与した場合、相続時精算課税の基礎控除110万円の残額190万円が相続時精算課税制度で相続財産に加算)

相続発生が発端となって親族感情は悪化することが多いのに、相続税まで絡んだら修復できないよ。

670万円の課税価格だと、例えば相続税率が10%の場合は67万円なわけで、いや、そもそも生前贈与なぞしなくても相続税がかからなかったりする。遺産分割の際に、相続人の生前贈与は明るみにされることがあるのです。

(暦年贈与で110万円にしておくのが平和と思います~。暦年贈与でも8年で税負担逃げ切り。)

相続税67万円を節税するつもりで、親族間のケンカになると貰いと幸せが減るよ!

賃貸用不動産オーナー・会社経営者・推定相続人が1人なら、相続時精算課税制度は考える余地はあるけど、

庶民は相続時精算課税なんてヤメた方がいいですよ・・・・

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。