平成29年税制改正大綱が12月16日に閣議決定された。
張り切ってまとめてみたものの!本当に合ってるの?読み切れない部分もあるし、認識誤りがないか、確認した。
合わせて、勝手に税理士試験改正関連出題予測も。
1、税制改正大綱 リンク集
一番分かりやすいのが、NHK WEB。一般的に関係ありそうなものがまとめてあって。読みやすい。
もうちょっと専門家寄りで分かりやすいのが税理士法人 名南経営さんのブログ。図解入りで分かりやすい。http://tax-point.blog.jp/h29taiko-zukai.pdfをポチリとすると、PDFが開いて読める。しばらくすると、販売するみたい。
専門家向き、大綱になるべく手を入れずに、重要部分を抜き出し、まとめてあるのが辻・本郷税理士法人さんのブログ。
2、消費税法関連改正
(1)消費税免税の規定
平成29年改正は消費税法の改正は少ない。消費税10%への増税は、平成31年9月からの予定(だったはず)に延びたし。ただ、電気通信利用役務の提供・高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例など、H28改正が重かったからね。
消費税の免税店の拡大については、「観光関連税制」とNHKでは言っていた。
これは、これから入国する外国人旅行客だけでなく、帰国した日本人も、到着した空港で免税店で買い物するものは消費税免税!という規定だって。現在、到着した目的地の空港には免税店がないんだけど、創設するらしい。
これは、1-5〔3〕「輸出物品販売場とみなす場合」に追加するんだろうか?事前承認港湾施設内に臨時販売場を設置しようとする~っていうアレ。
税理士試験の理論でとうとうベタ書きが出るか?免税物品の金額変更の改正は、H28の本試験では問えなかった(出たけど)から、それも絡めて?もう毎年改正ありすぎでむしろ出題できないかもね。
(2)消費税非課税となったもの
仮想通貨(ビットコイン)も、これからはプリペイドカード扱いとのこと。なるほどー。ヒッカケで計算問題で税理士本試験で出そうね。
3、法人税法関連改正
平成29年改正の法人税法は、いっぱいありすぎて、受験経験者は大変そう。でも!名南経営さんのPDFはすごい。改正前と改正後、改正開始日までだいたい改定ある上に、規定の趣旨まで書いてある。これは、一周法人税法を勉強したことがあれば、頭に入りやすいし、復習にもなる!
むしろ、初学者の受験生の方が、細かすぎて困っちゃうかもね。もう割り切るしかないんだけど。
なんといっても、上記のリンク集の名南経営さんのブログが超分かりやすいので、法人税勉強する人は絶対読んだ方がいい。いらすとやの絵も入ってるし、図が分かりやすい。
実務上は、1つ1つの取引を丁寧に確認しながら進むので、一見複雑でも何とかなりそうな感じ。
・試験研究費税制
もともと種類がいくつかある上に、毎年計算基礎の金額が変更ばかりしている・・・
税理士試験では、試験研究費の税額控除は、範囲拡大もしたので計算で出そうね。ただ、ここまで複雑な計算式を出すのかな?理論が数年前に出たものの、危ないか?
・所得拡大税制
平成25年(確か)から適用開始の新しい税制。こちらも毎年のように計算基礎が微妙に変更され、会計事務所の職員泣かせの規定。やっと計算してみたら、適用がないじゃん、何時間かかったんだー!・・・無駄も仕事だけど、誰にも労ってもらえない上に、お客さんからは「資料あれだけ提出したのに!」と言われる踏んだり蹴ったり税制だよ。もっと簡単な計算にしてほしいけど、ズルもできちゃうからなー。
税理士試験では、控除限度額の計算が出そうね。雇用保険加入云々の適用関係は出なそう。
・中小企業者の投資促進税制(かつての13-2)
昔は機械160万円、器具備品120万円、ソフトウェア70万円、なんて暗記してたのに。金額も変わっちゃったし、控除税率も変更に。
受験上は、各資産の金額と、税率を覚えるだけなので、負担は少ない。暗記。
・中小企業でも所得が多いと一部大企業扱い
大企業の子会社であるかどうかだけ、気を付けてればよかったけど、これからは所得が多い会社にも注意しないと。でも留保金課税・法人税率の軽減(19%?15措置法で%じゃなくて?)・貸倒引当金・欠損金関係は中小扱いだって。ここまで詳しく大綱に書いてあったかな?見落としてた。
税理士試験の計算で大法人は最近でたような?欠損金の取扱いあたりが事例問題で出題ありそう。
・国際課税 タックスヘイブン税制
BEPS問題(税源浸食と利益移転の略。税金が安い国に本社を移されちゃって、本国は税金も入らないし雇用も減るしてんてこまいですよ。なんとかしてよ。という問題のこと。)はもう何年も前から税制調査会でやってきているけど、もっと力入れていきます!法人税も相続税も所得税も、ぜーんぶ国外に逃げることはできなくなっていくよ。世間の目が厳しくなって来てるから、やってる感ださないとだし。
はっきりいって金持ち優遇だし。で、やりすぎると本気で逃げられちゃうから匙加減は大事だな、なんて。
というか、前から政府はやってるのに・・・そこは評価されないの?
トリガー税制(税金が安い国を利用して日本の税金を安くするのはダメ税制)の強化、ペーパーカンパニーかどうかをもっと詳しく見るように改正。
税理士試験では、結構前に出題されているので、理論の出題は微妙かな?重要性を考えるとちょっと捨てにくいような感じも・・・計算でシンプルな移転価格税制あたりの出題があるかも。
・スピンオフ税制(組織再編税制)
じつは「スピンオフ税制」はなーんとなくどこかで聞いたけど、全然説明できない。グーグル先生に聞いてみました。
組織再編税制のことだった。会社を分けちゃった場合には、色々と面倒がある。適格か、非適格か、実態はただ分けただけの分身なのか、全然違う会社になっちゃったのか、なんてそういう話。みなし配当が・・・という大事な話。難しい。
こちらも、数年前に税理士試験に出てる。ので油断したら翌年は計算で出題されたという・・・・捨てなくてヨカッタ。H29の出題は微妙なかんじ。知識として考え方だけは知っておかないと苦労する。(今、苦労している)
スピンオフ税制とは
- スピンオフ税制とは、会社の一部を分離して、新しく独立した会社とし、既存の株主に新会社の株式を交付する「スピンオフ」に関して、事業を分離した会社と新会社の株式を受け取る既存株主にかかる課税を繰り延べることができる税制のことです。スピンオフは、事業を分離した会社から新会社に対する資産移転が課税の対象となり、新会社の株式を受け取る既存株主にはみなし配当課税が行われますが、この課税を繰り延べることができるのが「スピンオフ税制」となります。
スピンオフ税制導入による影響
日本には、本業との相乗効果が低い事業、また不採算事業を抱えている会社が多く、スピンオフ税制の導入によってそれらの事業をスピンオフし、経営資源を本業に集中させるケースが増えることが予想されます。これまで本業との相乗効果が低い事業、また不採算事業を抱えていることが懸念材料となり、株価が割安に放置されていた銘柄の見直しも考えられます。
ご参考まで。(過去記事)H29税制改正大綱 三 法人課税
4、相続税法関連改正
平成29年の相続税法の改正は、結構多いんじゃない?
(1)非居住者の納税義務者の判定
国外転出をする場合の譲渡所得等の~の規定に続き、非居住者への課税の強化。
この非居住者10年の改正、相続税法の税理士試験に計算で出題されるでしょう!
「8年前に出国していた」みたいな!受験経験者は、「5年超だから、」と思いがちでしょうウフフみたいな出題がされるでしょう!
実は国外転出をする場合の~は受験上捨てたけど、今後はゆるく計算で出るのかな?「所得税法上の国外転出をする場合の~に該当し、5年以内の国内に住所を有していた」つまり、納税義務あり!くらいの。
など、いいつつ、まさかの理論で1-1納税義務者べた書きまである?
平成29年4月1日から適用。
(2)取引相場の無い株式の評価(非株の評価)
これ、絶対でるよね。実務でも使うし、超重要。新株予約権付き社債が有価証券扱いになって、更に難しくなっちゃった。
H28.1.1~。
(3)広大地評価の通達の整備
広大地はまず出題されないね。しかも改正は平成30年からだし。
(4)物納 上場株式等
(5)納税猶予まわり
細かい部分が改正となっている。改めての出題はなさそうね。医療法人の納税猶予は、改正開始時期が発表されてないし。
要注意は非株の贈与税の納税猶予が、相続時精算課税適用者にも出来るようになったこと。
相続時精算課税関連の理論書いてね、なんて問題が出たら、非株の納税猶予の規定を書いたら印象がいいかも。
改正前は暦年で納税猶予を受けて、限度額を超えた部分は相続時精算課税を適用できるという規定だった。
これがH29改正により全部を相続時精算課税を適用できるので、受贈後は頑張って株価をバンバン上げれば税務メリットがあるよ!と読んだ。
(3)相続時精算課税制度に係る贈与を、贈与税の納税猶予制度の適用対象に加える。
納税猶予まわりは、言い回しが似てるけど微妙に違うので暗記には少し気合をいれたなぁ・・・こんなの出るのかなー、なんて思いながら。
ところで、納税猶予周りで病気になっても医療法人以外は納税猶予がストップしなくなった。
ご参考まで。(過去記事)H29税制改正大綱 二資産課税(過去記事)H29税制改正大綱 二資産課税
5、所得税法改正関連
平成29年の所得税法の税制改正は結構たくさんある。
年々、複雑になっていくので受かっておいてほんとにヨカッタ・・・しかも注意なのは、研究開発費や所得拡大税制、中小投資促進税制が法人税の改正に記載され、所得税に記載されない!
税理士試験での出題はほぼないだろうとはいえ、雇用促進税制を知らずに所得税法を受験して、本試験で出題されて本当にビビったので、目次だけでも法人税の改正を見ておくべきだったかも、と思ったものですよ・・・
(1)配偶者控除・配偶者特別控除
これは所得税法の税理士本試験で絶対でるでしょうね。
(2)積立NISA
改正はH30年度からなので、H29の税理士試験には無関係でも勉強しとかないとね・・・毎年、普通のNISAと積立NISAで選択できるんだ。
積立NISAは投資信託なので、信託手数料がとられるでしょう。個別株を物色したい人はNISA、積立貯金のつもりって人は積立NISAがよいのかな。
金融税制は複雑になってきて、何が何やら・・・とにかく政府は、株式などの投資をしてほしいとにかく、投資をしてほしいってことは分かった。個人拠出年金もそう。年金はあてにできない(というか、将来払えないかも)って政府自身も思っているのだろうか。自分の老後が怖いんですけど。
(3)セルフメディケーション税制
これ、税理士試験の出題予測!H29から開始なので、きっと出ると思う。
(4)退職所得控除の特例計算
確定拠出年金があった場合の退職所得控除の特例計算。これは、重要性が下がるんじゃないかな。
(5)居住用財産の税額控除
気楽に改正しないでください、と言いたいところですが、捨てられない論点だと思う。前日にざーっとでも見ておかないと、不安。
住宅借入金等との関連もあるので、大切かな、と。
既存住宅改修関係は、空き家特例などのように重要視されてるよね。太陽光関連の工事で~なんてもののあり、数字が細かく、丸めて捨ててしまいたい。が、内容はしっかり理解しておいて、前日に思い出しておこう!
もう、本当に、住宅税制は苦しい。所得税法の住宅税制に比べれば、法人税法の組織再編成税制・国際課税の方が気楽だった・・・
ご参考まで。(過去記事)H29税制改正大綱 一個人所得課税
以上、平成29年税制改正大綱 リンク集・勝手に税理士試験出題予測 終わりー!