業務請負の使用人が、契約書面に代表取締役と記載していても、その会社の50%超の株式を保有していても、経営に従事していないのだから、みなし役員には該当せず、としたH28.3.31の裁決。(税のしるべ H28.12.26より)
なんとなく、50%超の株式を持っていると、経営に文句がいえるから、取締役などの肩書が無くても「みなし役員の論点だ!」と思ってしまいがち。
でも、「経営に従事しているか」がポイントだった。
1、事実関係
今回のケースでは、会社法上の役員になったりならなかったりしている、Eさんが主人公。役員をおりている期間に業務委託契約を結んで1年間合計2000万円近くの報酬を得ている。
2、会社の言い分
会社は、Eさんは過半数の株式を持っているから議決権があるだけで、経営には参画していないのだから、みなし役員に該当しない!だから2000万円の全額は報酬で経費計上OKなはずだ!と主張。
3、税務署の言い分
一方、課税庁は、Eさんが役員をおりている間の契約書面にEさんは自分を「代表取締役」として署名押印しているし、ヒアリングしたところEさんは経営に従事しているからみなし役員だ!だから、2000万円の報酬は役員給与だから更正!をしたのだった。
4、国税不服審判所の判定
審判所は、みなし役員に該当しないと判断した。なぜなら、その契約書面は対して重要ではない書類だったし、代表取締役の署名押印をしたからといって、経営に従事とは言えない。それに、Eさんは、人事や資金計画に関わっていたという証拠が明らかでない、とのこと。
そのため、役員給与の損金不算入の更正処分の一部を取消した。
5、感想。役員登記
業務委託報酬金額が2000万円と大きいことと、直前までEさんは代表取締役だったこと、その後、業務委託を終えたら再びEさんは代表取締役になっているから、過大な役員給与だったりその他色んな事情で業務委託は後出しなんじゃないか?と邪推した。
みなし役員である証拠に乏しい、という裁決だけど、個人的にはなんかもんやりする。代表取締役の署名押印があったんだし・・・ウッカリだったのか、実務上説明が面倒だったとかそういうこともあったんだろうけど。
役員の登記って、後からでも出来るのかな?調べてみたところ、役員が変更したら2週間以内に登記しないといけないらしい。期限が過ぎても登記はできるけど、罰金がかかっちゃうことがあるんだって。知らなかった。(グーグル先生に聞いた。司法書士先生のHP)→http://www.kigyoujitsumu.jp/legal/4483/
今回の税のしるべの記事には、登記については書かれていない。役員登記って、税務上はあんまり重要視されてないのかな??