30.3.29 平成30年4月1日から施行の生産緑地について勉強しておこう!
農地の2022年問題とは、と聞かれて答えられる?
お手本:都市農地は見直されてきており、農家を継続するのであれば税務メリットは継続できます。平成30年4月から生産緑地法が改正になったので、2022年問題について過剰な心配はいりません。農地を含む資産の売却タイミングはご自身でご判断ください。
これだよ!テストに出る!(出ない)
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1、生産緑地とは 税負担お安く
市街化地域内の農地で許可を受けた500㎡以上の農地のこと。
ざっくりイメージで言うと、都会は農地のままだと国土効率が悪い。けど、昔からの農家さんであれば、農地のままでOKとする、みたいな感じが生産緑地法。
固定資産税を農地扱いで相当安く計算する(農地に高い固定資産税をかけると農業が成立しないし、一般的に農地は生活インフラの恩恵を受けないからだと思う)し、相続税等の納税猶予制度も農地扱いとする。
(過去記事)生産緑地法の2022年問題 → https://mina-office.com/2017/06/30/nouchi/
2、生産緑地の2022年問題
生産緑地法が出来たのが1992年で、30年間が期限。バブルの時に出来た制度だったんでしょうね~。
ところでどうして生産緑地法が出来たのか妄想してみましょう。
・後からビックリ土地の相続税
都市農地の持ち主が死亡して、相続税を見てビックリ!都会の農地は宅地からちょっと値引きした程度の金額が相続税評価額になるので・・・。(まぁ農地でなくてもビックリするけど、固定資産税評価額は宅地と農地では200~300倍違う)
当時は、先祖代々の農業を手放さざるを得ない事情があったんじゃないかなぁ・・・。それは可哀想だよね。
・農家の継続ができない問題点
「30年間限定で都会の農地についても、地方の農地と同じ扱いにするから届けてね!税制優遇しまっせ」みたいな制度が生産緑地法。まぁ、こんなイメージで大丈夫。
そして30年経過した今、「2022年には一斉に都市農地が売りに出されてしまう!」と煽られる記事が続き、不動産会社が「2022年にはみんなが土地を売るので、今のうちに売りましょ!オリンピック前だから高めに買います!」みたいな争奪戦が行われているのが、今。
関係ないけど、平成30年4月から相続税の小規模宅地等の特例の改正も始まったよ。駆け込み不動産購入や家なき子特例にメスが入った。
・生産緑地は10年ごとの更新制になる!
しかし、2022年問題はそんなに心配することではないよ。10年刻みで延長だから。
(だから農家さん出来れば頑張って!)
3、特定生産緑地制度がはじまる
平成30年(2018)4月1日から、生産緑地法が改正されて特定生産緑地制度がはじまるよ。
・「延長でお願いします!」
申し出期間までに「農家を続けます!」と宣言することが必要。「続けます宣言」で10年間延長、その後10年ずつ宣言してしていくことになるね。
カラオケみたいな感じ?「10分前ですが、延長します?」みたいな。
忘れちゃったら農地扱いは卒業となってしまい、固定資産税は宅地並み、相続税等の納税猶予は取り消しでご請求が届くので、「延長宣言」を忘れるべからず。
てか、ちゃんと農業委員会から連絡が来ると思う。
参考(いたばし農業委員会だより より2017.12月号)→ http://www.city.itabashi.tokyo.jp/c_kurashi/077/attached/attach_77261_6.pdf
・六次化OK 小さめOK
生産緑地の農地は、農産物直売所や農家レストランとして利用しても農地扱いのままでOK(相続税の納税猶予は対象外の模様。新たに作ったらという意味か?宿題。)建設には事前に許可が必要よ。
今まで農地500㎡以上であることが約束だったけど、300㎡からOKで、道連れ解除(農地の一部が道路になった場合などで300㎡以下になるもの等)はさらに300㎡未満でも農地扱いOKな感じ。市町村による。
・納税猶予も緩和。
生産緑地は、自力で農業を行っていないと相続税の納税猶予はNGだったけど、ちゃんとした機関経由で農家へ貸す農地については、納税猶予OKにする、などなど
(農業法人への貸付けもセーフかな?独自で市民シェア畑を検討する場合には納税猶予打ち切りの可能性大。工夫が必要)
4、新たな用途区域「田園住宅区域」はじまる
第一種低層住宅専用区域、みたいな区域があるんだけども、新入生を紹介します!
「田園住宅区域」こんにちわ~。
新設の理由は次のようなもの。3つだけ挙げてみたわ。
①都市部では、「農家は地方でやってね。」というスタンスだったけども、住宅のニーズが減ってきた(28.5.13閣議決定当時)。
②食べ物を作る農地を取り囲むように高層マンションが建ってしまうと、色々不都合がある・・・。
③日本の農作物を大事にしていこうという考え(TPP的な?)
田園住宅区域と指定された場所は、都市農地をひいきするので、農地に日が当たるように、高さの低い住宅しか建てられませんよ、という地域。
平成30年4月に、国土交通省から詳細が出るらしいので、お待ちいたしましょう。てか、相続税の受験生は既に情報ゲットしているかもね。勉強するから。
(参考:閣議決定時の国土交通省より 生産緑地等の改正2016.5.13)→ http://www.mlit.go.jp/common/001198169.pdf
今年の宅建受ける人であれば、いまさらって感じかもね。私は知らなかったけどね!
5、2022年問題だからって農地を売るの?
もともと農地を持っていて、農家をやめて売りたい場合には全然問題ないけど・・・。(※30.7.17追記 生産緑地には解除制限があるので、勝手に農家をやめられないらしいです!生産緑地法10条)
2022年になったら自動で納税猶予が打ち切りになるわけではない!
税金がいっぱいかかると聞いたから売る!は、違いますよ、待って!それは個別の状況を見てから。
なお、生産緑地は、「農地のフリして土地の値上がりを待つ」のは即アウトなので・・・。ズルはいけません。
6、納税猶予を受けた農地を売った場合の税
① 納税猶予った相続税(贈与税)を一括納税
② 納税猶予の利子税を一括納税
③ 譲渡に関する申告所得税を納税(15%又は30%)復興税2.1%もかかる!
④ 譲渡に関する住民税を納税(5%又は9%)
相続税を払うために土地を売却して、相続税の取得費加算という税の考慮があるとはいえ所得税もかかるのが納得いかない。
キラーン閃いた!相続税の加味は取得費加算ではなく税額控除とすべきでは?
7、感想
生産緑地は、うちの近所にもたくさんある。
固定資産税が生活インフラの維持費という位置づけなのかな~と思ったのが収穫だったわ。
「2022年問題、税理士さん、実際のところどうなの」に答えられるようになったものの、農地のノウハウに詳しいのはJAさんでございます。