学説:遺産税vs取得税@相続税課税方式

30.8.12 相続税の課税方式は、遺産税方式と遺産取得税方式に大別されるが、どっちの方がよいのか?

答え:それはみんなで決めることヨ。日本は中立的ないいとこどりしてる立場です。

1、遺産税方式がいいというOZ

ところで、オーストラリア(なのか、当該本稿なのか)が相続財産について所得税としなかった理由はなんでしょう。

サイモンズさん、という昔のアメリカの学者(1899-1946)が、毎年の給与や年金と一緒に考えるのが美しくないと言っていた、から?

(オーストラリアにおける相続税・贈与税論の展開 八木原大さん2015) → http://www.daito.ac.jp/research/laboratory/economics/publication/laboratory/file/economic_review2015_yagihara.pdf

「相続税」という税目は、昔は大衆への受けがよかったんだって。だから、包括的所得概念ではなく周期説・源泉税という考え方によろう!とヘンリーさんが2010に言った。オーストラリアに相続税を復活させ、それは遺産税方式でヨロシクと述べた。ヘンリーさんて誰?

ヘンリー・レビュー。「オーストラリアの将来の税制」について語ったものらしい。メンバーは5人・・・。メンバーの中の財務省次官(学者)がケン・ヘンリーだから?

財政学における所得の把握の仕方には二つの見方があり、どちらのアプローチを採用するかに よって所得概念に差異が生じる。

一つが周期説であり、これはある一定の源泉から周期的・規則 的に生じる収入(例えば、労働から生じる給与、事業から生じる利潤など)を所得とし、源泉説 とも呼ばれる。

いま一つは純資産増加説であり、これはある家計において、一定期間の聞に消費 した金額とその期間に糟加した純資産の価値の合計をその期間におけるその家計の所得とするも のであり、この考え方に基づく所得概念は包括的所得概念とよばれる。

アスプリーという名前もちょいちょい出てくるのだけれども、「1975のアスプリー委員会」というものがあったらしい。

2、取得税がいい!という考え

いっぱい書いてあるのでまとめないけど、かなり面白い。23ページもあるけど!分かりやすいです。

納税者に対する分かりやすさからすると、取得税なのだろうか?「あなたの取り分があるから税金」ってことなのだよね。

現行の併用方式だと、他の人の取り分が増えると、自分の取り分は変わらないのに相続税率が上がってしまうため納税となることが問題点といえる。

取得税であれば「他の人の取り分が増えても、あなたは無関係」。

悪くないけど、遺留分って考え方は廃止にするって考え?遺留分は全体の相続財産が分からないと把握できないよね。例えば公正証書に、「長男は100万円。それ以外は次男」て書いてあったら?

取得税方式だと、相続税申告書(でいいのかな)は単独で提出することになるわけで。トータルである遺産総額は分からないシステムにしている。疑心暗鬼にならぬ?

三木[1995]やマーリーズ・レビューに代表されるように、取得税方式を課税根拠や機能面から支持 する声は強い。

では、それにもかかわらず、米英が遺産税方式を採用しているのはなぜだろうか

(相続税の課税方式に関する理論的考察 ―取得税方式への回帰に向けて― 立岡 健二郎さん2013)→ https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/jrireview/pdf/6703.pdf

 

3、遺産税vs取得税

結局のところ、いいところも悪いところもどっちもあるんだって。もはや宗教といえるかもしれない!

(同上 相続税の課税方式に関する理論的考察 ―取得税方式への回帰に向けて― 立岡 健二郎さん2013)→ https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/jrireview/pdf/6703.pdf

課税方式の在り方に関する議論は、

被相続人の意思の尊重と家族や社会のあるべき姿の追及のどちらに重きをおくのか、

突き詰めれば、相 続を個人的なものとみるか、社会的なものとみるのか

4、まとめ

相続財産は、故人の気持ちを優先するのか、残された家族・社会を優先するのか、という議論は、面白い。

私はもちろん、故人の気持ちを優先派を応援するわ。だから、お金持ちは死因贈与にすればいい!

(関連過去記事 死人が口出す遺言法)→ https://mina-office.com/2018/05/04/yuigonhou/

遺言書って、結局相続人みんなで話し合いで遺産を分けてしまえるので、(遺贈の放棄)やはり死因贈与がいいのではない?贈与だから、他の人が口出しできないし。

まぁ、登記の費用とかが多くかかっちゃうみたいだし、実際に運用されているのは少なそうだし、死因贈与って机上の空論で実際には難しいのかなぁ~。

とかいって、プア層の私は完全に他人事です。えへへ。

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。