都市農地の税金セミナー講師

30.1.15 都内某所にて、農地の税金について講師を務めてまいりました~♪

よくある、農地を売らせるためのセミナーではありません!

市民中心で都市農業を考えている方々からオファーをいただき、生産緑地の農地の相続税について1時間ちょい、お話ししてきたわ。

年末からず~~っと練ってきた、反省点はたくさんあるけど、大事なことは伝わった!はず!

レジュメも数字もイチから手作り!何十時間かけたんだろ。勉強になりましたよ。

1、相続税のせいで農地が減る?

都会の農地は、相続が発生する度に減少していく、のは誤解!というお話し。

そもそも、農地には売却できない田舎の農地と、売却できる都会の農地と、都会でありながら田舎の農地として取り扱う生産緑地農地があります、というざっくりとした話から始めたわ。

結論は、すでにここで述べてしまう!

2、相続税の制度趣旨

農地の税制優遇制度の実例を話す前に、相続税は富の再分配のためにあるのだということを説明したわ。

突出した金持ちを作らないようにし、庶民のうっぷん晴らしを行い金持ちの身の安全を担保する、それが相続税の制度趣旨、だ!

え、違う?そうなんだよ!

3、農地の相続税の納税猶予

納税猶予の金額のインパクト。もう、農地の相続税が高いなんて言わせないよ~。

今回も、農民:長十郎に死んでいただき、実際の相続税額・納税猶予額を比較してみました。

遺族(相続人)が農業を継続した場合には相続税がナンボか。固定資産税がナンボか。

遺族(相続人)が農地を売却してカネにしたい場合には相続税はナンボか。譲渡所得税がナンボか。手元に残る現金はナンボか。将来、相続が起こってその残ったはずの現金に相続税が課税されまっせ、という話を実際の金額を見ながら説明。

よくあるケースとして、アパート経営をしていた場合の相続税と比較してみます。(あ、固定資産税も比較すればよかったな。・・・・固定資産税は市町村が勝手に計算するとはいえ、勉強せねばならぬ)

ハイッ!農地で残せば、ほぼ永久に末代まで相続税負担がメチャ安くリレーできることが分かりましたね!

アパート経営みたいなことするから、先祖が相続税で苦しむんですよ。まぁ、農業だけで生活できないから、しょうがないのかもしれないけどね。

4、納税猶予の留意点

なんでもなんでも農地であれば税制優遇するわけではありません。納税猶予なので、農業をやめたら猶予していた金額を一気に納税します。

さらに、利子税までかかるので!あ~らびっくりよ。

納税猶予制度を受けた場合には、打ち切りにならないように充分気を付けましょう。

打ち切り事由が予定される場合には納税猶予を受けないなども一案。(納税資金がない場合が多いと思うけど)

5、貸し農園

生産緑地は、営農困難時貸付けを除いて、貸した場合には納税猶予打ち切りだったのであるが、ある一定のライセンスを持った人・会社にきちんとした手続きを経て貸すのであれば、納税猶予続行するという法律が出来ました!

平成30年9月1日から施行の、都市農業の賃借に関する円滑化法、です!

(農水省HPより)都市農地の賃借がしやすくなります → http://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/tosi_nougyo/taishaku/tosi_taisyaku.html

(都市農地の賃借に関する円滑化に関する法律)→ http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=430AC0000000068_20180901_000000000000000&openerCode=1

6、森林環境税

今回は開催団体の方向性の関係で森林環境税の話も放り込みましたわ~。

7、田園居住地域

今回は時間の都合で話せなかったけど、平成30年4月1日から始まった新たな都市計画地域区域内の都市計画、田園居住地域という用途地域ができたよ。

ここでは、農地は転用が許可制になり、法律的には田園居住地域の農地は原則として売却が難しいシステムになる。そのため、生産緑地の指定なんてなくても農地の納税猶予の適用となる(農業をしていれば、ね)。

田園居住地域は農地にお日様が当たるように高い建物は建てられない地域。

どういう地域が田園居住地域になるのかというと、市町村が市民からの理解を得て、「このエリアは田園居住地域にするからね」と決めるみたいだったわ。

この土地とこの土地、という個別に決めるのではなく、あるていどのまとまりで「ここからここまで田園居住地域ね」と決めるらしい。ある程度の方針を決めて市民と話し合って決める、とあるけど、もう、方針が決まったらほぼ・・・ね。

最終的には都市計画審議会の諮問後らしいです。

(立川市HP 特定生産緑地説明会のQ&Aより2018.9)PDFの一番最後から見てね。→ https://www.city.tachikawa.lg.jp/toshikeikaku/seisanryokuchi/documents/tokuteiseiryoku_setsumeikai_shitsugi.pdf

8、農地は誰ものもの?

農地の歴史をチラ見するだけでも複雑なのであるが。

土地って所有者のものだよね。私有財産なのであるから。それにガタガタ言われるのは、財産権の侵害にならないのかしら。(公共のためだからしょうがないって憲法に書いてあるんだけどね)

わたしの乏しい預貯金について、「使うな!」と言われることはないのに、農地になると「使うな!」と言われてしまうことに違和感があるわ。

農地は食べ物を生み出す母なので、大事にしているから税制優遇がある。それと引き換えに農地が所有者の自由にならないのはいいことなのかしら?けど食べ物だし、税金をオマケしているんだし。

うーむ。わかりません。

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。