租税法律主義は課税の公平性を実現できない@救えチャリ置き場

2019.6.19 法律は時として分からず屋です。

本来、課税の公平性のために租税法律主義はあるよね。

けど、法律読んだまんま!だと課税の公平性が保たれないと思ったことがある!

耐用年数の短縮が認められなかった事例。不服審判所の裁決。(国税不服審判所より)→ http://www.kfs.go.jp/service/JP/68/11/

普通の耐用年数は47年であるが、最初から10年で取り壊すことを市と契約していたチャリンコ置き場の話。

しつこいですか?そうですか。

(関連過去記事)減価償却 耐用年数の短縮は事由による → https://mina-office.com/2017/02/22/dep-taiyonensu/

続けます。

・チャリ置き場4700万円の投資。10年間で

例えば、4700万円でチャリンコ置き場施設を建設したとします!

10年で取り壊すんだから、減価償却は10年としたいところ。だから、4700万円÷10年で、毎年470万円を減価償却として経費計上したい。

けど、税務署はダメだって。「耐用年数は47年だから、チャリ置き場と市との契約書の内容なんて知らんし。契約書で決めた耐用年数でいいよって法律がない。だから、47年で減価償却して」だってさ。

そうしたら、毎年の減価償却は4700万円÷47年=100万円だけだよね?取り壊す年だけ、未償却の3800万円がドバーと経費計上。

あのね。

毎年の減価償却が少ないと言うことは、税負担をするということです。

繰り返して言うけど、1年目~9年目までは毎年減価償却が100万円だから納税額が多額になります。

一方、10年目にドバーと未償却3800万円が経費になり、最終年だけ赤字で会社が清算します。(繰り戻し還付は1年分しか出来ないし地方税は繰戻し還付がない)

・<税額シュミレーション>

毎年のチャリ置き場売上げが600万円の場合、減価償却が100万円。他の経費や均等割りを無視するけど、1年目~8年目の納税額が毎年120万円。9年目は繰り戻し還付で0円納税に、10年目は赤字申告で0円納税。

耐用年数47年だと、設立から契約満了で会社清算するまでの10年間のトータル税額は960万円。

一方、耐用年数が契約期間(経済現況)と同様の10年だと、設立から契約満了で会社清算するまでの10年間のトータル税額は300万円。

その差は660万円!

10年間で取り壊す契約であるだから、耐用年数を47年ではなく10年で減価償却できる方法がないか、探すべきだよ。

<税額シュミレーション・終わり>

投資の回収が出来ていない。あるべき税負担が反映されていない分、キャッシュフローを悪化させる。本来の減価償却の趣旨(収益と費用の対応関係)と合致していない。

・「そうっすね」くらい言え!

当然、税金はちゃんと負担するよ。租税法律主義だから、「なんとなくOK」はダメなんだよ。

けど、経済的な事情をまったく考えない分からず屋ってどうなんだよ!

せめて、不服審判所の裁決で「ほんとっすね」くらい言え!

不服審判所の裁決の、「え、最後は未償却の減価償却が経費計上なんだから別にいいじゃん」

とはなんだ!けしからぬ。

計算くらいしろ!税理士に意見を聞けば、不服審判官は「そっか~。考えなきゃね」くらいには思うんだよ!税金を知らない人たちで議論した案件だと思うわ。税金の話なのにさ!

法律の向こう側の納税者の生活を浮かべて裁決いただきたい。

なんか、法曹界って過去の裁決とか判決を丸パクリするから、後からパクる人が「あ、未償却の減価償却は最後の年に経費計上するからいいんだな~」って間違えて思っちゃうんだよ!

・税理士の意見書システムってどう

不服審判所は、すべての案件について税理士からの意見を提出させ、審判官はその意見書を一読するシステムにするべきである!

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。