日税連の令和2年度税制改正建議書を読む

2019.6.30 日税連は、令和2年度税制改正に関する建議書を2019年6月28日に発表した。読む!

日税連HPより 例が2年度税制改正に関する建議書 → http://www.nichizeiren.or.jp/nichizeiren/proposal/taxation/

全部で25ページ。集約されていて、結構いい感じ。

すっかり飼い慣らされてきたのか、言いたいことが分かるようになってきてしまった。私もヤキが回ったものである。

さて。

Ⅰ 税制に関する基本的な視点

公平で、分かりやすくて、事務負担はほどほど、時代背景も加味するべき。税務行政はこれらも踏まえて行いなさいよ(税務行政の透明化もネ!)、ということが書いてあります。

Ⅱ 重要建議項目

(1)消費税はインボイスはヤダ

(おのでら:消費者の負担した税金が届くインボイスの方がいいと思うけど)

(2)給与所得控除と公的年金等控除はイマイチだから基礎控除に集約したい

(おのでら:サラリーマンの概算経費が給与所得控除であるなら、自営業は実額経費にできてかつ基礎控除でも税負担軽減ってなんか変じゃない?給与控除や年金控除は一律〇万円にすればいいんじゃないの?なんで基礎控除に集約したいの?なんで?なーんでよ。)

(3)災害関連

Ⅲ 今後の税制改正についての基本的な考え方

・所得税

人的所得控除が所得控除方式なのは金持ち優遇だけど、人的所得控除は課税最低限の観点から所得控除方式がいいって意味が分かりません。

高所得者の配偶者控除・基礎控除の逓減方式は課税最低限の観点からけしからん、とのこと。ほんと、そうですね。けど、上記で自分たちが指摘している所得控除方式の問題点と矛盾していますね。

株式税制(配当・譲渡)の税率が一律20%なので、金持ちが得しているから、大口・金持ちの株式譲渡益については超過累進税率にしようぜという考え方はそうかもしれません。なんか、不完全な気持ちになり、消化不良です。みーんな一律総合課税にすれば?

年金課税は雑所得ではなくて「年金所得」的に考えろという観点、分からなくもないけどこのタイミングで?という気がする。これから、年金受給額がぐんぐん減り、年金だけでは暮らせなくなる時代。もう少し年金課税について、特にギリで暮らす人のことを考えてもらいたい。

・法人税

あんまり響きませんね。甘噛みですね。社会保険料負担と税制を一緒に考えて、という点はイイね。個人事業主の延長みたいな中小法人にまで負担を増やそうとするのはいかがなもんでしょうか。

・消費税

基準期間をヤメて申告不要制度の導入がイイらしい。基準期間による納税義務判定は、自分がその課税期間の初日に「よし、課税事業者だぞ」とか「よし、免税事業者だぞ」といったことを把握して納税資金の確保といった観点から必要と教わった。

基準期間をやめちゃうと、その課税期間が終わるまで、自分が課税事業者なのかどうかが分からない状況になっちゃうけど、それはOKと考えているのか?

簡易課税のみなし仕入れ率の超引き下げはいいと思います!簡易課税を選ぶと損税になる仕組みであれば、届出なんか不要だし、課税売上高の判定もいらないんじゃないの?例えばみなし仕入れ率は一律5%、みたいにすれば、誰も簡易課税など選択しない訳で。(中小特例みたいに、売上げ規模などでみなし仕入れ率は変更してもいいかもね)

・相続税

日税連の意見に反対する。

①贈与税の基礎控除アゲ??

言ってることが分かんないんだけど?中間層に負担させてもしょうがないから、相続税の基礎控除を下げるのはやめよう。相続税による富の再分配は必要だ。しかし次世代への贈与はさせよう、って意味で合ってるの?

次世代への贈与を応援することは、富の再分配と逆行しているよね。(と、政府税調でサトウ委員が言っていた)

個人資産の多くは年寄りが持っているから、経済を回すために次世代に贈与させようっていうお気持ちからの「贈与税の基礎控除をアップしましょう」の意見は分かりますが、公平な税制を考えるのに国のサイフ事情を忖度する必要はありますかね?

なんか、ちょっと分かりにくいです。

② 小規模宅地等の特例の税額控除化?

小規模宅地等の特例の税額控除化という意見には反対です。該当者の生活基盤を守るためには、その他の相続人の税負担を軽減してまでインセンティブを与えることは仕方ないことです。該当者の税額だけが下がるのであれば、その他の相続人が「よかったね!」とハンコを押しますかね?

ある種、税法が応援してまで、該当者の生活基盤を守るのが小規模宅地等の特例の現在の役割と私は考えます!

③ 相続時精算課税財産の小規模宅地等の特例の適用?

現行制度は、相続時精算課税制度により取得した不動産については、小規模宅地等の特例の適用がない。

そりゃそうだよ!だって相続時精算課税財産は贈与だからね。「相続又は遺贈により取得」していないんだから、贈与された財産に小規模宅地等の特例の適用はないよ。

ただ、その発想ってユニークではあるよね。相続財産に加算されるんだから、という考えなのでしょう。ヘンテコだ、けどおもしろいな!

・地方税

償却資産税を廃止にしたいようです。せやな。

外形標準課税について、言いたいことがあるようです。わたし、ちょっと分からない。

面白かったのは、個人住民税の出国時の課税。そうなんだよ!だから、個人住民税は現年課税がいいのよ!

・納税環境整備 その他

マイナポータルの税理士権限、申告書閲覧サービスの拡大。

せやせや。イイ感じ、ガンバレ日税連。

P.10~(PDF13ページ目)からの各論の税制改正建議、読みました。まとめるのは今度ね。

 

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。