二重国籍の話 所属税理士に損害賠償

外国居住の日本人の相続税の課税関係などを考えてみよう!

KINZAI 2017年1月号 p,68の記事も参考にしています。買ってね!

様々な国籍
国際化の法律整備を

一時居住の外国人が日本国内で死亡しても、「居住者」扱いにせず国外財産は相続税の課税対象に含まれないことが平成29年の税制改正大綱で閣議決定された。

相続税では、国籍・日本の居住期間によって課税範囲が変わっちゃう。この判定基準も29税制改正で「5年以内」から「10年以内」へ伸びた。

今回は、

二重国籍がある場合はどうなるの?

そういえば、国籍関係のせいで所得税理士が訴えられちゃったね、という話。

1、二重国籍とは。どれか1つを選択してね。

http://www.jca.apc.org/unicefclub/research/96_kokuseki/kokuseki_2.htm

日本人の子供で外国で生まれた場合・日本国籍があるけど、外国国籍を取得した場合、特殊な場合、があるみたい。

(法務省)国籍選択について

○ 外国で生まれた方や親が外国国籍の方は重国籍の可能性があります。
○ 上記以外にも、婚姻や認知等により重国籍となる場合があります。

日本では、日本が二重国籍を知りえている場合には、「どっちか選んでね。選んでくれないなら日本国籍を放棄したと考えるから!」という立場であるようだけど、本人の意思を確認せずに職権で戸籍を削除することはあんまりしないのが現状ではないかな。

2、国をまたぐ法律関係のルール。どの国の法律で考えるの?

国籍法というものが存在し、通則法というものがあるみたい。(KINZAI 2017.1月号 NO.383より)

外国人が日本に住んでいてなくなったら、相続税法上、居住者だから全世界課税!と思っていたけど、どうやら、日本は、「その亡くなった外国人の本国法に従ってね」という方針のよう。

海外へ移住
外国で暮らす

では、その亡くなった外国人の国の方針は、死亡時に本拠地があった国の法律に従ってね、という方針の国があるみたい。

上記の考え方は、相続税法のみならず、どっちの国の法律に従うか、を決めているルールなんだって。

つまり、その外国人の出身地によって日本の法律を適用するのか、母国の法律を適用するのかを検討しなくちゃならない。大変じゃん。

3、恩恵だけ受けられちゃうケースも?

外国によっては、その人がいくつ国籍を持ってても全然気にしないって国もあるみたい。

日本は、家父長制度が根強かったのと、徴兵があったからなのか、(多分国民性だろうけど)戸籍は世界から見ると相当厳しいみたい。鎖国もしてたし、排他的なところあり、それで文化を保ってたところもあるので、いい面もある。

けど、二重国籍であるが故に、なんか権利だけ享受してるケースはあるんだろうか?

(1)国民健康保険

国籍とは関係ないけど、外国に住んでるのに日本の住所を抜かないで国外療養費使われちゃったり。それ、私が負担した健康保険料なのに!ちゃんと短期滞在かどうか、しっかり確認してもらいたい!

外務省 海外在住者と日本の医療保険,年金

(2)国民年金

外国に住んでいても、日本国籍を保持すれば国民年金に任意加入できる

日本年金機構 国民年金の任意加入の手続き

(3)選挙権

外国に住んでいても、日本国籍があれば選挙権も行使できる。在日外国人には選挙権をあげないのに、二重国籍はいいの?平等といえるのか?

総務省 在外選挙制度について

(4)手続き関係の優遇

ほかにも、外国籍だと大変な手続きが、日本国籍があるから、簡単にパスできる優遇措置もありそう。

例えば税務申告。外国籍の方は添付が求められる資料が多いみたい。

4、所属税理士が訴えられたケース

(1)厳しい判決

税理士登録後、引き続き給与所得者として税理士事務所に働く税理士は多いと思う。しかし、勤務税理士が1000万円ほどの税務上の損賠賠償を求められてしまったケースがあった。

http://www.lotus21.co.jp/ta/1509jkhq/591_40.pdf

税理士なら国籍法も知っておけ、とは厳しい判決でしたね。本気でビビった。所長先生と損害賠償を分け合う形になっていて、確か所長先生は勤務税理士より多くの損賠賠償を求められたはず。所長先生が受任し、仕事を任せた従業員税理士のミスで、チェックが甘かったために損害賠償。

事業を大きくするには、従業員がいなければならないけど、こういうリスクもある。

(2)勤務税理士で大丈夫なのかな

私が本気でビビったのは、1000万円の損害賠償を受けても、返せないってこと。

クビになるかもしれないじゃない?

それに、所属税理士だと、仕事を選べない。規模が大きくて怖いな、受けたくない、と思っても上司の命令だし。所長に確認しながら仕事を勧めるわけだけど、、、税理士なのだから・・・

そもそも税理士業は組織に向いてないと思う。

2人の税理士がいたら、主張が同じなわけないし。当事者から話を聞くのは所属税理士でしょう?いくらイチから育てても、受験勉強は所属税理士が1人でやるんだし、学んできた・見てきた世界が違うんだから税理士によって判断は分かれるのが普通。最終的な税額確定についてはハンコを捺す所長先生の判定に従うことになる。で、勤務税理士も損害賠償ね・・・

そもそも、所長先生と従業員の頭がつながっているわけではない!

所長先生の伝えたことが、従業員に正しく伝わっているのか分からない!

責任は重い
責任は重い

裁判判決では、税理士業務は、属人的な仕事なので、所属税理士の責任は重い、という考え方もあった。

だから、もう、税理士登録したら、独立した方がいいんじゃないか、上司が全責任をとってくれるわけじゃないんだし、自分にはリスクがある案件は断れるんだから!と思うわけです。

5、外国居住の日本人の相続発生時には!

今回の裁判のケースでとても勉強になったことは2つ。

(1)勤務するなら税理士登録のメリットなんかない。

有資格者のままでもいいんじゃないかな、なんて。

(2)相続税では戸籍を取り寄せて確認しよう

実は、所属税理士が訴えられちゃった「国籍法くらい知っておけ」は後からよくよく調べていくと一部なるほど、と思うこともあった。

以下は完全に私の妄想です。

多分、お客さんからは「もうずーっと前から外国籍を取得してる」とヒアリングしていたいのだと思う。だから、制限納税義務者と判断したんだ。

でも、二重国籍だったのかな、と。

お客さんは、外国籍を取得しているから日本国籍はないと思っていた。でも、「日本国籍はもういりません!」と宣言していなかったので、日本国籍が残ったままだったんじゃないかと。

戸籍謄本
戸籍謄本を確認

必要ないと思いつつも、職権で戸籍を取り寄せればオカシイと分かったかもしれない。だって、戸籍に、名前が残っていて除籍されていないのだから。

これが、「日本国籍を放棄する」と意思表示していれば、戸籍から除籍されて被相続人の名前にバッテンが入る。

もし、不動産登記があれば、司法書士の先生が気が付いてくれたのかな。なんて思ったりもして。

(3)お客さんが話すことはすべてではない

別の話で、以前外国に居住していたと雑談したのに、相続税申告書に国外財産を含めなかったから加算税がかかった!長年お世話になった税理士訴えてやる!

みたいな裁判もあって、結構ゲンナリしますが、そういうのは珍しいからニュースになるので、実際にはきちんとお客さんと向き合って適正な処理をすれば問題にはならないよねぇ。

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。

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