H30 税制改正大綱 資産課税

29.12.15 与党税制改正大綱が発表。まだ、法律になっていない。

資産課税の詳細を読む。

H30与党税制改正大綱 → https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/136400_1.pdf

続き。p.45~

事業承継税制使いやすく、マンガの原画も納税猶予なるか?、相続対策のための不動産乱立にストップ、の3本が私の気になる改正。

二 資産課税

事業承継税制 納税猶予パワーアップ

非上場株式等の贈与税・相続税の納税猶予が、平成30年1月1日から格段に!格段に使いやすくなりそう。これはすごい。

9月に公務員の人に「今の制度は使いにくいです。事業承継で社長になって赤字になっても税負担だけ残っちゃうんですけど」と文句 要望を言った(後日日記に書いただけかも?)私のおかげ!(な、訳ないけど)

(関連過去記事)事業承継セミナー → https://mina-office.com/2017/09/12/jigyoushoukei/

ざっくり言うと、今までの非上場株式等の納税猶予は、業績が良い会社の株式を、事業承継で後継者に譲ったものの業績が悪化したら、事業承継時の株価で税負担が残ってしまっていた。

創業者だからこその業績ってあるでしょ。後継者が気に入らないから他の取引先にする、という考えを持つ人は結構いるのよ。会社は、人だったりするので。

(関連過去記事)事業承継は後継者のリスクを → https://mina-office.com/2017/12/04/jigyoushoukei-2/

しかし、平成30年1月1日以降の非上場株式等の納税猶予制度は、事業承継により業績が悪化する可哀想なケースには、なんと!納税を免除する!

さらに、親族外承継(例えば従業員など)であっても、相続時精算課税制度が使えてしまう場合がある!なんと、他人なのに相続時精算課税制度! 信じらんな~い。相続人の税負担が増えるんじゃないの?

読むと、深く考えてられていて、行政側の事業承継の本気度が分かるね。つっこみどころもあるので、詳細は別記事へ。

一般社団法人スキーム封じ

お金持ちの一部の人たちで行われていた、一般社団法人を使った「節税」スキーム封じ。親族の所有割合が1/3以下なら今まで通り。

平成30年4月1日以後の贈与・相続より施行予定。

特定一般社団法人(親族だらけで構成されている一般社団のこと)の理事が死亡した場合には、一般社団法人の財産を同族役員でワリカンしたと考えて、死亡した人の財産割合部分は一般社団法人が遺贈により取得したと考えるようで、相続税が課される。

特定一般社団法人の財産が1億円だとして、被相続人と家族と2人が役員だった場合には、一般社団法人が5000万円を遺贈により取得したとみなして相続税を負担する。

平成30年4月1日以後の理事の死亡より施行、ただし、平成30年3月31日までに設立した一般社団法人については、平成33年4が1日以後の理事の死亡より施行。らしいです。

一般社団法人や合同会社は、なんか税法の整備が追い付いていない感じがするので、こうやって段々整備されていくといいよね。困る人もいるみたいだけどね。

登録免許税の免税

先祖代々の土地を親が相続し、親が死亡し、登記をさぼっていた人は、平成30年4月1日以降に「親が一旦相続した」という登記をしましょう!司法書士への手数料はかかるけど、登録免許税は免税になる!これは親の部分だけ?自分が相続により取得したという登記の登録免許税はかかるのかしらん?

ところで、とばし登記(中間省略登記)の場合には、登録免許税がかかるのかしらん?

所有権は登記しておいた方がいいみたい。といっても、私は登記や固定資産税の仕組みに詳しくないのであんまり分からない。

地方の安い土地は(価格10万円以下)の相続登記は、「所有者不明の土地をなんとかしよう法律」に該当すると登録免許税が免税なんだって。きっと、法務局からお手紙が来るんだろうね。

措置法 美術品の相続税 納税猶予

特定美術品(重要文化財である文化財や美術品で世界文化の見地から素晴らしいよね!というもの)を、美術館に寄託(預けて管理をお願いすること)場合には、その美術品の所有者が死亡しても、その特定美術品の課税価格の80%部分の相続税は納税猶予していいよ、という制度が創設。

特定美術品の所有権は相続人なので、売ったり紛失したりすると、納税猶予は打ち切って利子税と共に税金を納税。

寄託相続人が死亡したら、その更に相続人に所有権が移るので、代々納税猶予を受け続けないとならぬね。

あんまり使い勝手がいい制度じゃないね。

マンガの原画に相続税が課税されてしまうという記事を書いたことがあり(関連過去記事)売れっ子漫画家原画の行方 → https://mina-office.com/2017/09/26/souzokuzei-genga/

このように、遺族にとっては遺品として持っておきたいけど相続税の納税のために売却せざるを得ない、というケースは避けたいよね。日本の宝だし。

今回の納税猶予制度は大きな始めの一歩で、どんどん進化していくといいなぁ。

農地の納税猶予 生産緑地問題

手当されました、農地の生産緑地問題!一定の貸付けなら納税猶予OKとなった。

都市圏以外の営農要件が厳しくなり、20年でよかったけど終身となってしまった。これは、既に納税猶予を受けている農地については従来通りの20年を選択できる。

現在、納税猶予を受けている生産緑地であれば、生産緑地の指定が解除されても納税猶予は継続してOKに!

登録免許税

登録免許税は、色々な免税・減免制度があるのね。税、とついていても、登録免許税は税理士が計算しないので司法書士に聞くべき。税理士では役に立たない。

せいぜい、認定優良住宅、特定増改築の住宅を建てようかな~ってお話の時に、「なんか登録免許税が安くなるものがあるらしいですよ」程度の話をするくらいでしょ。

「近い将来、会社を設立したいのであれば、市町村の創業支援制度の問い合わせをして受講すると会社設立の登録免許税が安く済みますよ」「認定事業再編計画」

くらい?他にもいろいろあるみたい。

小規模宅地 改正

平成30年4月1日から、改正予定。

・居住用 家なき子特例の制限

居住用宅地等について、相続開始前3年以内に親族や同族会社所有の国内家屋に住んだことがあれば「家なき子」特例はNGへ。現在の自宅を過去に所有していたことがあれば「家なき子」特例はNGへ。この場合、配偶者が所有していてもNG?

・貸付用 相続対策不動産の制限

貸付宅地等について、今まで貸付けをしてなかったけど、相続発生を予見して慌てて貸付けを始めたら貸付宅地等の特例はナシとする。そんなのあり?おかしい!

3年前から事業的規模の貸付けを行っていれば慌てて貸付けを始めてもセーフだって。

相続対策のみを目的としたアパート乱立をストップしたい模様。なお、平成30年3月31日までに貸付事業用に供していればセーフ。

・介護施設入所は居住用でOK

介護施設に入所するために、自宅を居住用に使っていなくても、誰にも貸してなければ居住用と考えてOKになった。(だからといって、すなわち小規模宅地等の適用があるわけではなく、特例には他にも要件があります)

退院を予定するような入院であれば、居住用としてイイヨ、という国税庁のタックスアンサーもある

(国税庁HP)入院による空き家は特定居住用宅地等でよいか → https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/sozoku/10/06.htm

 

固定資産税の減免

ざっくり、認定が必要ではあるけども、首都圏直下型地震に備えたデータバックアップセンター、高齢者・障害者が使いやすいバリアフリーの演芸場など、生産性向上設備(従来のものと変更)、土地誘致促進施設、ハンデイがある人達の施設、介護医療院に貸し付ける土地、大阪市が民営化する鉄道の一定のトンネル、災害避難施設、地震に備える鉄道の耐震補強、地震に備える岸壁等、国家戦略特区の医療関連研究設備、国内就航飛行機、新築認定長期優良住宅、耐震改修等を行った住宅は、固定資産税をオマケしてくれる模様。

逆に、固定資産税の特例措置の廃止・縮小もあるので注意。

ラジオ局、郵便局、公害防止設備、バイオ燃料設備、再生可能エネルギー業者、鉄道コンテナ貨車、成田空港、雨水貯留浸透施設(これは父島にもあったやつ!?)、市街化区域農地転用による新築住宅などが固定資産税の特例が廃止・縮小になった。

いろいろ、あるんだなぁ・・・。

その他

外国人が国外居住者から贈与をうけ・相続した場合の取扱いが書いてある。ちょっと複雑で改正の目的が分からない・・・・。

相続税申告書に添付する戸籍が、コピーでよくなる

コンクリート施設の農業の栽培施設の施設は、農地として相続税等の課税財産の計算をしてOKに。

まだ、法律にはなっていないけど、だいたいこんな感じ~♪

次はあんまり話題にならない法人課税 p.70~!

 

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。