東証IRフェスタ2018 2レポ 医療関連編

30.3.25 医療の行く末はどうなる?30.3.16 パシフィコ横浜で行われた、東証IRフェスタ2018レポの続き。医療・介護・命編

池上彰TVで、国民皆保険制度の疲弊について取り上げてたね。個人投資家でもあるわたしは、東証IRフェスタ2018に参加、今回は広く医療関連の企業についてのレポ。

※個別株式へのおすすめではなく経済関連の日記です。株式投資は自己責任で行ってください。

社会問題と事業運営とは密接な関係があるよね。数字だけではなく企業のポリシー・背景・社会環境・マーケット(消費者のニーズ)も考えていくときっともっとおもしろい。

1、アニコムHD株式会社 ペット業界

・大まかな業務内容

ペット損害保険を主軸に、飼い主・動物病院向けのビジネスを展開している。

ペット医療保険・ペット損害賠償・飼い方の秘訣・ペットフォトグランプリ・予防医療・ペット葬儀・ペット霊園の紹介なども行っている。

動物病院向けには、動物病院づくりサポート(顧客管理、セミナー、機器インフラ、求人関連)・動物医療先端研究などを行っている。

・ふと思う疑問事項

「クライアントへのアプローチ方法は?現状のアプローチのみでよいか」

「ペット業界全体のリスク対策はどうしているのか?東京都ではペット殺処分ゼロを実施した。売れ残りのペット問題もあり、今後のペット業界に行政からの指導が入る可能性があるのでは」

「既にペットがいらっしゃる飼い主さんへのアプローチは」

「ペット高齢化により、保険金が多額になり経営を圧迫しないかどうか」

「介護が必要なペットについての経営方針」

「身勝手な飼い主が増えることで社会問題になると、やり玉にあがるのは企業。リスク対策は」

・将来性とリスク

ペット業界は、急に拡大したマーケットなので将来性があると同時に、想像できないリスクもあるのは確か。

社会問題になりつつペット問題もあるので、共に解決していこうという理念はいいよね。元々が保険会社なので予防や研究に力を入れてもらい、病気になるペットが減るといいな。

社員さんが楽しそうに説明してくれていたのが好印象。

保険会社なので、財務諸表が変わっていて面白い。

2、ニプロ株式会社 医療業界

・大まかな業務内容

医療機器をはじめ、医療関連の器具や注射針、経口剤の研究もしている。

戦後に創業、琵琶湖付近で電球を製作→魔法瓶の内側を製作→注射針製作→医療機器製作→カテーテル製作→各種医療機器・医療消耗品製作→海外進出も

という経歴。

・ふと思う疑問事項

「国外進出のうちアジア圏などであると利益率は国内と同じでも貨幣価値が違うが」

「医療崩壊という問題も聞こえてくるが、そのような場合にはマーケット縮小となるが」

「簡易な操作方法であるのであれば医者以外に販売する予定はあるか、関連法律は」

・将来性とリスク

予防医療にはどの国も力を入れているからいいよね。これから医者のなり手が減りそうであるから、機器が簡単操作になるのであれば検査用技工士などがあってもよさそう。

いや、命に関することなので、ビジネス的な効率化を優先して考えるべきではないね。医療機器について考えた時、その向こう側の人の命を忘れてしまうとは、私としたことが・・・。

予防医療を国外に輸出するのはとてもいい、国外事情のリサーチコストやマーケットコストを回収できるのか、という質問もすればよかった。

3、株式会社ケアサービス 介護終活業界

・大まかな業務内容

通常の介護事業である通所介護(デイサービス)・介護施設・訪問介護・福祉器具貸与販売・介護人材派遣など。海外進出も行っている。

こちらの会社の最も特徴的なサービスが「エンゼルケア」。これがたいへん興味深かった。

お亡くなりになった方に、最後の入浴などを行うというサービス。湯灌(ゆかん)。お顔のパーツ再現が出来ることもあるらしい。孤独死によるお部屋クリーニングも特殊技術で対応。

終活の一環として本人からの事前申し込みや、相続発生後にご遺族の気持ちの整理のための受任などがある。

・ふと思う疑問事項

「介護を必要とする高齢者に対して、エンゼルケアというご自分の死後についてのお話しをすることに違和感がある。」

→ 意外にも本人の終活で好評

「介護者の方にとって、利用者(高齢者)の死は精神的に苦しいと思うがどうしているか。」

→ 研修では限界があり、ベテラン介護者などから積極的に声がけするようにしている。しかし、それをもって介護者(従業員)の心理的な負担感解消になるとは思っていない

「エンゼルケアの入浴は生存者の入浴とはノウハウが違うと思うが」

→ エンゼルケア専門の従業員がおり、専門的な研修を行っている。介護をする者とは違う専門家が湯灌を行っている

「介護業界は離職率が高く、人材確保に苦労していると聞くが」

→ 介護業界は転職が多い業界であり、離職率は他業種と比較すると高い。当社の特徴として、待遇が良いため転職しても戻ってくる方が多い。おかえりなさい制度を設け、休職や転職後に再度就職でも不利にならないような制度を設けている。

・将来性とリスク

エンゼルケアやお部屋クリーニングサービスといった介護の向こう側を展開した事業には学ぶところが多かった。

介護事業は高齢化に伴いビジネスチャンスであると沢山の事業所が乱立した時代があった。今は、ノウハウのある事業所と利益を出せる事業所だけが残っている気がする。

介護事業は、年金暮らしの高齢者が対象であるため、一般的に利益が出しにくい業界だと思う。それゆえ、従業員に対する給料面に跳ね返ってしまいがち。

利用者のみならず故人に対する接し方などには厳しいマナー研修を行っていて、利用者は安心。

介護従事者の心理的ストレスや人材不足などは介護業界全体のリスク。人材確保に対する対策はしているが、業界の取り合いになれば潰しあいになること、介護保険制度崩壊を目前にしていることが気になる点。

これから、独居老人の孤独死などが増えていくことが予想され、専門クリーンサービスもいいね。私にとっても、ひとごとではない。

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。