文楽 菅原伝授手習鑑 第2部

2023.9.22 東京・国立劇場の「さよなら初代国立劇場」見てきました~。19日が素晴らしくてついお代わり!

菅原伝授手習鑑の3段目と4段目の一部を見てきました。菅原第3部→菅原第2部、と順番逆回りで見て来たわ。逆回り楽しかったです♡

・弁当

お弁当は「おにぎり弁当980円」にしました。

お隣の方も「それ、美味しいですよ♪」とおっしゃっていて、人気の理由も納得のおいしさ。量が足りないけど、休憩時間に席やベンチで食事するなら食べやすい~。

2階の一部と3階で机付きの休憩所が臨時に出まして、私はそちらで食べました。前回の焼鳥弁当も美味しかった~。

・太夫と三味線

座席は、奇跡的に前から5番目の床寄り!唄(ナレーションやセリフ)と三味線(音響)に近くて、感動の迫力です。

太夫(唄の方)さん熱演!三味線の方もたまに合いの手を入れたり。人形の方をあまり見ないし、人形遣いさんもアイコンタクトしてなさそうだし、なのにタイミングピッタリ。

太夫さん(唄)の床本という脚本は古いものでした。文字も昔のものだとか。チラと見えたけど、毛筆で書かれてた~。常連さんに教えてもらった他、帰りに資料館で見たけど、読めない笑

壁からクルリと出て始まる時と退出前(壁からクルリと回って退出)に床本に深々と礼されるのが伝統芸能っぽい!

鶴澤さん・竹本さん・豊竹さん率が高め。なお、人形遣いの方々はほぼ吉田さんと桐竹さん。わざと家族経営っぽく書きましたが、流派のようです。

・菅原伝授手習鑑

すがわらでんじゅてならいかがみ

901年の昌泰の変を背景にしているようです。(歴史の授業なんて忘れたけど、菅原道真は分かる!)

第2部の始まり~。

3段目 車曳の段

歌舞伎では「車引き」と書かれていることもあるようです。

素人のうろ覚えでお届けいたします!

黒い牛が高級そうな車を曳いてきます。偉い人の移動中、護衛もいます。

しょうゆ顔とケチャップ顔の男性人形2人が出てきて、牛が曳く高級車を通せんぼする!なにごとか理由がありそうです。

車の引率護衛が選民意識たっぷりに二人を見下した発言をする。

しょうゆ顔は桜丸、ケチャップ顔は梅王丸。護衛子分たちをぶん投げちゃう!奥から強そうな護衛、ソース顔の松王丸登場。

しょうゆ・ケチャップ・ソースの3人は3つ子で!(顔立ち性格が違うので二卵性らしいです。三卵性っていうの!?)

車は、演出の都合上バラバラになっていくけど、音声ガイドの誘導通り、中から「藤原時平」が出てきたと解釈しましたよん。

やったらぁ!と意気込んでいた桜丸と梅王丸、藤原時平の睨みに立ちすくみ、撤退する。藤原時平、帝(天皇)でもないのに帝の格好をしている・・・・。

3段目 茶筅酒の段

3つ子のお父さん、シロクローさん(四郎九郎)の70歳の古希の祝いで、3つ子のお嫁さんが実家に来ました。

しょうゆ顔の桜丸の奥様は八重。やえざくら、になるように名付けたのかもね、とのこと。「北嵯峨の段」では立ち回りされていた八重さん!第3部にも登場です。赤い襦袢に赤い髪飾りで目立ってたのもあり、八重推し♡

ケチャップ顔の梅王丸の奥様は春。梅といえば春。「北嵯峨の段」では阿闍梨僧へ使いに行ってました。

ソース顔の松王丸の奥様は千代。第3部でも活躍します。(´;ω;`)ウゥゥ

面白かったのは、嫁3人が料理するところ!

八重は料理が下手で何やらしてもダメ!すり鉢させればひっくり返す、それなら、と大根を切らせてみれば包丁に大根がくっついちゃって黒子に何とかしてもらった上に指を切る(という設定)。(*’▽’)料理ダメってわたしか?

人形劇だから出来た料理の場面だけど、面白かったな~。会場から笑いが起こったよ~。井戸の近くで何かしている嫁さんも人形とは思えない細かい動きが自然。

素晴らしかった!

現代なら、舅が「君たちが楽できるように煮物しといたよ、雑煮でいいから」だなんて、いらんことするなって感じだし、外食か出前にしよ。片づけがあるし、嫁同士がケンカしちゃうからさ。

3段目 喧嘩の段

梅王丸と松王丸が来る。

挨拶しなかったろ!だの、いま俺をディスったろ!だの、兄弟ケンカが始まります。

現代でも変わらない、兄弟にイラつくって昔から同じだよね(*^▽^*)

表出ろや~と庭でつかみ合いのケンカ!妻たちはオロオロ。お父さんが大事にしている桜を折っちゃった!怒られる~・・・・とへこむ兄弟。

なお、お父さん70歳なので3兄弟は30代後半、くらいかしら。(孫が7歳)

白熱のケンカ、この時代にはなかった米俵を小道具に使い、見応えある取っ組み合いの兄弟喧嘩でした!

3段目 訴訟の段

お父さんは、桜の木を折ったことを怒りませんでした。

悲しそうに見ただけで、何か影がありそう、なナレーションやイヤホンガイドがありましたが、初見の私だとお父さんの複雑な心情はちょっと分からなかったな。

梅王丸と松王丸は、それぞれお父さんにお願いをしていました。ボクはこう生きたいからOKください、的なシーンです。

梅王丸は、菅丞相(菅原道真)の元でお仕えしたいというがダメと言われ、菅丞相の奥様とお子様の身の安全を護れ、と命じられちゃう。なるほど!第3部への繋がりが分かりました。

お父さん、菅丞相のお世話は自分がするから、とのこと。

次に、松王丸のお願いは、「勘当してください、菅丞相の敵の藤原時平に仕えてるから・・・・」とのこと。お父さん、笑って怒り、勘当をする。

お父さん、松王丸のことは好きじゃないみたい。松王丸は松王丸なりの覚悟があり善かれと思っての行動なのだけどお父さんには伝わらないよね。可哀想な松王丸・・・・。

親って子供を平等に愛するとは限らず、世話になろうがなんだろうが無関係に好き嫌いってあるみたいよね。

松王丸、お父さんを気にしつつも退場。

梅王丸、すぐに護衛に行くよう言われるも、気になることがあり、出立を猶予して近くで様子をうかがう。

3段目 桜丸切腹の段

桜丸、実は納戸に隠れていた。お父さんは、それを知ってたようでした。子の嫁からの贈り物の3つの扇子をおみくじのようにした。ダメだった。桜の木は折れた。天からの啓示と思ったようです。

桜丸が良かれと思った行いが結果として政敵の藤原時平に利用され、菅丞相は失脚したのだけど、桜丸は気にしている。

お父さん古希の祝いなのに申し訳ないけど、責任を感じるので切腹したい、これが桜丸のお父さんへのお願いでした。

なぜ死ぬのか!が私の心情ですが、藤原時平の悪事を訴える手段がなくヘマをすれば一族すべてに迷惑がかかる。今のまま生きるのがつらい、なのかしら?

妻の八重、可哀想で目が離せませんでした。( ノД`)シクシク… また、動きが美しいのよ。お人形だからこそ、の良さを感じます。(人だと感情移入などで気が散るから)

お父さんの念仏。。。太夫(唄)すごかったです!三味線、人形の動き、ピッタリ!毎回の南無阿弥陀仏が異なり。。。多くの感情を含んだ太夫から放つ念仏に、観客が各々思いを巡らせるのでしょうね~。

4段目 大拝山の段

場面は太宰府近辺。三つ子のお父さんは、無事に菅丞相(菅原道真)の元で世話係をしています。冷遇されている菅丞相の様子。百姓出身ならではの話で菅丞相の気が紛れたなら、と喜びます。

そうでした。昔は身分制度があったのよねぇ。先ほどの場面に続いて2回目なので印象に残りました。

お参りのお寺に到着、背景と大道具の転換!

「東風ふかば にほひをこせよ 梅の花 あるじなしとて 春なわすれそ」菅原道真が歌います。

現代語訳:東風が吹いたら(春が来たら)芳しい花を咲かせておくれ、梅の木よ。大宰府に行ってしまった主人(私)がもう都にはいないからといって、春の到来を忘れてはならないよ。

飛梅!これが飛梅伝説だそうです。

三つ子のお父さんがお酒を欲しがるシーンは謎でしたが、急に出てきた梅王丸が藤原時平の悪行の証拠人物を捕え、話は急展開。

菅丞相(菅原道真)は牛に乗り、ベンチに座り、とほぼ動きが無し。偉い人は動きを少なくして高貴さを表現するのだけど、私には動かない人形は特に面白くはないのです。

それが!むっちゃくちゃ怒る菅丞相!!そりゃ~もう激怒ですよ!普段は慎みがあり怒ったりしないようで、三つ子のお父さんも梅王丸もびっくり仰天。

証人の首をちぎってぶん投げ!(首ちぎって投げ、は他の場面でもあるけど、よく見えない)

あまりの怒りで手にした梅の花が落下!(これがパンフレットのシーン)

髪を振り乱し、空は暗くなり雷鳴、激昂する菅丞相!

火を噴くー!!(゚д゚)

うぉー!と天拝山に登る(この場面転換も一瞬!)。

後から調べてみますと、雷神になった菅原道真は天拝山から都へと信念でワープするようです。文楽では、第3部で「信念」で出演してました。これだったのか!

閉幕です。

すごかったわ~!

・感想

私は個人的に思うのは、菅丞相(菅原道真)があんなに怒った理由は、自分がはめられたからではなく、藤原時平が私欲のために帝(天皇)の命を狙っていることに心底怒ったのだと思いました。

誤解から僻地に飛ばされても怒らずに現実を受け入れ静かに待った菅丞相は、自分の不遇のためにこんなに怒ったりはしなかったのでは、と思いたい。そんなにも帝を想う気持ちは意味不明ですが、それが天下泰平のためと思ったのかもしれないわね。と、勝手に良いように解釈してみました!史実では左遷を嘆く歌もあったようですが。

三つ子らが敬う菅丞相をより立派な人物像にする方が、舞台上で犠牲となった命が救われるからです!きっとそうだ!

***

菅原伝授手習鑑、面白かったです!歌舞伎でもあるみたい。文楽は人形だからこそ映えるシーンがあるし、歌舞伎は役者が演じるからこそ生きるシーンもあるよね~。

伝統芸能は、昔むかしの人々が熱狂した演目を同じように観れるのがいいな~。

なお、本場は関西だそうです。

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。