R5大綱を読む 消費税法上の生産設備等の範囲を深追いする回

2023.1.6 与党税制改正大綱を読む。消費税法上の生産設備等の範囲に蓄電用の電気工作物が加わりそうです。ん?ピンとこないので、深追いしてみました。

1,閣議決定された大綱の74頁

閣議決定された令和5年度税制改正大綱の74頁です。(与党税制改正大綱は95頁)

閣議決定 令和5年度税制改正大綱 → https://www.soumu.go.jp/main_content/000853546.pdf

5 その他

(国税)

(1)電気事業法の改正に伴い、消費税法上の生産設備等の範囲に蓄電用の電気工作物を加える。

へえ。なんだろうね。まぁいいか、と流し読みしていたけど、閣議決定バージョンを読んでやっぱり気になり調べてみました。

消費税法上ってのが気になりますよね。

2,消費税の国内取引かどうかの判定か?

これは、恐らくですが、内外判定のことです。「蓄電用の電気工作物」の「専門的な科学技術に関する知識を必要とする調査、企画、立案、助言、監督又は検査に係る役務の提供について」は、役務の提供が行われた地で国内取引かどうかを判定する、ことになる、と読みました。

3,電気事業法の改正を浅く学ぶ

電気事業法の改正の報告 経済産業省のPDFより → https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/hoan_shohi/denryoku_anzen/hoan_seido/pdf/011_01_00.pdf

本改正により、電気事業法において、①認定高度保安実施設置者に係る認定制度、②小規模事業用電気工作物に係る届出制度等、③登録適合性確認機関による事前確認制度、の3制度が導入。

電気事業法の改正は、太陽光・風力発電、燃料電池自動車規制、AIドローンなどのためのようです。

4,条文等を探す

下記の条文等の引用部分の下線はおのでらが引きました!本件と無関係の部分は省略しております。

4-1 消費税法施行規則を探す

消費税法施行規則。令和5年1月1日現在のもの。(令和5年度税制改正大綱が反映される前です。まだ法案が可決されていないのです)これに、蓄電用の電気工作物が加わる予定と推測します。<全然違ったりして! >

生産設備等の範囲
第二条 令第六条第二項第五号ハに規定する財務省令で定めるものは、変電及び配電施設、ガス貯蔵及び供給施設、石油貯蔵施設、通信施設、放送施設、工業用水道施設、上水道施設、下水道施設、汚水処理施設、農業生産施設、林業生産施設、ヒートポンプ施設、ばい煙処理施設、窒素酸化物抑制施設、粉じん処理施設、廃棄物処理施設、船舶、鉄道用車両又は航空機とする。
4-2 消費税法施行令を探す

「令第六条第二項第五号ハに規定する財務省令で定めるもの」を探しに、消費税法施行令を見に行く。

第六条 法第四条第三項第一号に規定する政令で定める資産は、次の各号に掲げる資産とし、同項第一号に規定する政令で定める場所は、当該資産の区分に応じ当該資産の譲渡又は貸付けが行われる時における当該各号に定める場所とする。

(中略)

2 法第四条第三項第二号に規定する政令で定める役務の提供は、次の各号に掲げる役務の提供とし、同項第二号に規定する政令で定める場所は、当該役務の提供の区分に応じ当該役務の提供が行われる際における当該各号に定める場所とする。

(中略)

五 専門的な科学技術に関する知識を必要とする調査、企画、立案、助言、監督又は検査に係る役務の提供で次に掲げるもの(以下この号において「生産設備等」という。)の建設又は製造に関するもの 当該生産設備等の建設又は製造に必要な資材の大部分が調達される場所
イ 建物(その附属設備を含む。)又は構築物(ロに掲げるものを除く。)
ロ 鉱工業生産施設、発電及び送電施設、鉄道、道路、港湾設備その他の運輸施設又は漁業生産施設
ハ イ又はロに掲げるものに準ずるものとして財務省令で定めるもの
4-3 消費税法を探す
法第四条第三項第二号を探しに、消費税法を見に行く。
消費税法
(課税の対象)
第四条 国内において事業者が行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三項において同じ。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。以下この章において同じ。)には、この法律により、消費税を課する。
2 (保税地域。略)
3 資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める場所が国内にあるかどうかにより行うものとする。ただし、第三号に掲げる場合において、同号に定める場所がないときは、当該資産の譲渡等は国内以外の地域で行われたものとする。
一 資産の譲渡又は貸付けである場合 当該譲渡又は貸付けが行われる時において当該資産が所在していた場所(カッコ書き略)
二 役務の提供である場合(次号に掲げる場合を除く。) 当該役務の提供が行われた場所(当該役務の提供が国際運輸、国際通信その他の役務の提供で当該役務の提供が行われた場所が明らかでないものとして政令で定めるものである場合には、政令で定める場所)
三 電気通信利用役務の提供である場合 当該電気通信利用役務の提供を受ける者の住所若しくは居所(現在まで引き続いて一年以上居住する場所をいう。)又は本店若しくは主たる事務所の所在地

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。